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1996年台湾の地方都市、新竹の高校。 同級生の恋人がいながらナンパがやめられない希彦(イェン) (鳳小岳:リディアン・ヴォーン)、 希彦の恋人に思いを寄せながらも親友を裏切ることはできず 思いを胸に秘め続ける生真面目な湯(タン)(張捷:チャン・チエ)、 2度落第を繰り返しすでに在籍4年目ながらいまだ2年生の曜行(ヤオシン) (王柏傑:ワン・ポーチエ)・・・。 彼らを中心とした7人は年齢も家庭環境もバラバラだが常につるんでいる遊び仲間だ。 自分たちの友情は永遠だと思っていた彼らだが、ふとした事件がきっかけで 7人の心はバラバラになってしまう・・・。 観終えてふと思ったのは 「なぜ『九降風』なんだろう」ということだった。 物語は特に9月の彼らを描いているわけではなかったから。 作品について調べてみると答えはすぐにわかった。 「九降風」とはこの物語の舞台となる新竹に9月に吹く季節風のことで、 9月のこの時期が台湾にとって卒業&入学のシーズンであることから 新たな出会いと別れを意味しているのだという。 なるほど・・・。 思い返せば全編を通して常に「風」を感じる作品だったような気がする。 学校をサボって通う大好きな寥敏雄(リャオ・ミンシュン)選手のプロ野球試合 出入り禁止の学校の屋上で食べる昼食 無免許で相乗りするバイク 真夜中に素っ裸で泳ぐ学校のプール・・・ 挙げてみれば彼らの行動はどれもこれもロクでもないものばかり。(笑) それでも笑って見守ってしまうのはこれがこの時期特有の熱病みたいなモノだと すでに大人の自分はわかっているからだろうか。 「女の子ものがたり」の友情にまるっきり感情移入できなかった私が この7人の物語には心動かされてしまう・・・この差は一体何なのだろう。 不器用で無知で無謀で。 互いにぶつかり合ったり心に留める思いがあったり傷つけたり傷つけられたり。 どこか根っこで自分と重なる部分を感じてしまうからだろうか。 7人を演じる若者の普通っぽさが実によかった。 特に印象的だったのはいつもニコニコとみんなに合わせていた志昇(シーチョン) (邱翊橙:チウ・イーチェン)が友情を貫くためにガンとして自分を曲げず、 説得する湯を跳ね除けた強い意志を持った目と行動。 一番年下の志昇が湯の何倍も大人に見えた瞬間だった。 台湾映画を観るたびに思うのは学校の制服のこざっぱりとした可愛らしさ。 7人の着る制服のシャツには学校名と本人の名前入りというのがスゴイ。 女の子は普段はシャツとスカートなのに卒業式だけパンツになっていたのは 何故だろう。 スカートの方が断然かわいいのになぁ。 この物語は林書宇(トム・リン)監督の自伝的物語であるという。 それであるならば現在の曜行に、博助に、超人に、志昇に会ってみたい。 10年以上たった今彼らはあの頃の仲間たちを思い出して「バカやってたな」と 笑うことができているのだろうか。 そんな想い出になっていて欲しいな、と願う。 九月に降る風 オフィシャルサイト ★ラッキーなことに希彦は思い切りお母さん似だったのね。 ★湯役の張捷はどうにも顔がハリセンボンの箕輪はるかに重なってしまう・・・。
by sabunori
| 2009-09-14 13:00
| MOVIE
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Trackback(6)
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Comments(16)
Tracked
from 夢の国・亞洲文化宮
at 2009-09-15 00:17
タイトル : 九月に降る風
2008年/台湾・香港/1時間47分(劇場で鑑賞) 監 督 林書宇(トム・リン) 原 題 九降風 出 演 鳳小岳(リディアン・ヴォーン) 張 捷(チャン・ジエ) 初家晴(ジェンファー・チ...... more
Tracked
from 小泉寝具 ☆ Cosmi..
at 2009-09-17 11:19
タイトル : 九月に降る風
台湾 青春&ドラマ 監督:トム・リン 出演:リディアン・ヴォーン チャン・チエ ジェニファー・チュウ ワン・ポーチエ 【物語】 1996年9月、高校3年生のタンは仲間たちと野球観戦に出かける。 親友のイェンを筆頭に、最年長...... more
Tracked
from 真紅のthinkingd..
at 2009-09-19 14:06
タイトル : 君がいた永遠〜『九月に降る風』
九降風 WINDS OF SEPTEMBER 1996年、台湾の地方都市、新竹。竹東高校3年のイェン(リディアン・ヴォーン) は、親友のタン(チャン・チエ)や後輩たちとクループでつるんでいた。 男舟..... more
Tracked
from だらだら無気力ブログ
at 2009-09-21 22:21
タイトル : 九月に降る風
台湾映画界の注目の新鋭トム・リン監督が自身の高校時代を盛り込んで描いた 切なくてほろ苦い青春ドラマ。学年の違う7人の男子学生を取り巻く日常生活 を台湾で実際に起きたプロ野球賭博事件と絡めながら描きつつ、7人の儚くて もろい青春の日々を綴る。1996年、台湾の新..... more
Tracked
from to Heart
at 2009-10-25 15:57
タイトル : 九月に降る風
この煌めきが風になる 製作年度 2008年 原題 九降風/WINDS OF SEPTEMBER 製作国・地域 台湾 上映時間 107分 PG-12 プロデューサー エリック・ツァン(曾志偉)、イェ・ルーフェン(葉如芬) 監督・脚本 トム・リン(林書宇) 出演 リディアン・ヴォーン(鳳小岳)/チャン・チエ(張捷)/ジェニファー・チュウ(初家晴)/ワン・ポーチエ(王柏傑)/リン・チータイ(林祺泰)/シェン・ウェイニエン(沈威年)/チウ・イーチェン(邱翊橙)/チー・ペイホイ(紀培慧)/リー・ユエチェン(李...... more
Tracked
from Mi cinema log
at 2010-09-19 01:06
タイトル : 九降風 九月に降る風 ’08 台湾・香港 (スカパー)
去年 見たかったけど 見逃してた映画 台湾が得意とする まったりゆったりした台湾時間が流れ その中での 甘くほろ苦い青春系・・・ という予想はある程度当っていたけど この映画は 温帯+亜熱帯の いかにも台湾らしい濃い濃い緑 いかにも南国的なまったりとした空気感 そんな中での静けさ 若いからこその静けさが印象的だった 詳しく:CINEMA TOPICS ONLINE 台湾の地方都市 新竹を舞台にしているこの映画 学年も違えど 同じ高校...... more
sabunoriさん こんばんは
こちらは 今月末の公開です 楽しみに待っています 女の子は普段はシャツとスカートなのに卒業式だけパンツになっていたのは何故だろう。 >何処かで監督の話を見たのですが 昔はスカートでしたが 今の台湾の女子高生はパンツなのです 卒業式のシーンだけ 本物のシーンでスカートに出来なかったそうです 気が付かないと良いなって監督言ってましたが やはり無理でしたね
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こんばんは~
ちょうど気持ちのよい季節になって、この作品!! アップしてくださった写真の空が、とてもすがすがしいですね。 終盤、志昇が骨太な面を見せたとき、彼の将来を無性に見たくなりました。 ある体験によって、子供は急に大人になるのかしら。 あの番号、ネーム入りのシャツは、自分なら「勘弁してよ~」と 言いたいところです。 通学途中の駅員さんにも、すぐに名前を覚えられてしまいますね~ この時期はかけがえのない時間なのだと、あらためて思った次第です。 ところで、自分のレビューでとんでもない間違いを書いてしまいました。 申し訳ありませんでした。お詫びして訂正いたしました。
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sabunori at 2009-09-15 09:14
usakoさん、瑞々しくて心に染みる作品でした。
是非ご覧になって感想を交換しましょうね! 女子の卒業式のパンツのシーンにそういうカラクリがあったとは・・・。 監督結構力抜いてますな。 気づきますって普通。(笑) 舞台になる新竹という地方都市の適度なのどかさが物語にぴったりでした。 7人が昼食を食べてふざけあう高校の屋上からの景色がよかったです。
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sabunori at 2009-09-15 09:23
孔雀の森さん、こんにちは。
このポスターの清清しさが作品のカラーを見事に現していますよね。 >ある体験によって、子供は急に大人になるのかしら あぁ、まさにそうなんでしょうね。 志昇のこの後の人生を追ってみたいですよね。 そして血の気の多い正義感の強い曜行も兵役から戻ったその後が気になります。 そんな中その後が一番気になるのは博助かもしれません。 志昇に対して、そして自分に対してどう向き合っていくのか・・・ 弱い面のある男の子だったから曜行のような友達がいてあげて欲しいですね。 ところで「迷子」の子供の件、私もオフィシャルサイトを読んで 「えっあの迷子になった子供!?」と思っていましたよー。(笑) なんせ作品の記憶が薄くなっているので中学生の男の子の存在をすっかり 忘れていました・・・。(笑)
こんにちは♪
彼らの持って行き場のない揺れ動く感情もさることながら、グループ内 で一人が浮き始めて来たときに生じる距離、崩壊の描かれ方がホント にリアルで、何とも言い難い痛みで胸がいっぱいになってしまいました。 がどうしようもない野郎だらけの中にあって、チーションの彼女?ペイシ ンの清楚な優等生風情がとても爽やかで萌えてしまいました♪ ヾ(´ε`*)ゝ エヘヘ
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sabunori at 2009-09-17 23:09
風情♪さん、こんばんは。
感想の中で特に触れていなかったのですが確かに女子2人とも清潔感漂う 可愛い女の子でしたよね。 志昇をクラブに入部させてあれこれと世話を焼くペイシンの気持ちを知ってか 知らずか志昇もまんざらでもなさそうでした。 ペイシン役の女の子はハーフだったのかしら。 端正な顔でこれから先もどんどん綺麗になりそうですよね。 >一人が浮き始めて来たときに生じる距離、崩壊の描かれ方がホント にリアル そうそう!そうなんですよねー! そのあたりが胸をキュ〜ンと締めつけられました・・・。
sabunoriさん、こんにちは。
7人(9人)の顔と名前はすぐに一致したのですが、漢字名までは覚えられず・・。 彦と湯と芸だけ(なんのこっちゃ)。 私は台湾に行ったことはないのですが、アチラの気候ってあまり湿度は高くないのでしょうか? 緯度は日本より遥かに低いのに(だから相当、暑いんじゃないかと思うのですが)、台湾映画からは乾いた空気を感じることが多いのです。 本作も期待に違わず、瑞々しい佳作だったと思います。 ハリセンボン・・・いや~~!! 私は湯にちょっとときめいてたんですけど(笑)。 シーチョンもかわいかった♪
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sabunori at 2009-09-19 22:31
真紅さん、お待ちしておりました〜。
観終わってからジワジワと良さが増す作品だと感じている今日この頃。 私は真紅さんとは逆で彼らの名前がカタカナだとなかなか頭に入らなくって。 (単に年のせい?) 台湾の気候は(私も3~4回ほどしか訪れたことはないのですが) 暑いわりには湿気が不愉快だった覚えはないですねぇ。 香港があまりにもすごい湿度だからそれを考えるとさわやかな暑さな 気がします。 台湾映画の映像ってこの作品を含めておっしゃるように風や乾いた空気を イメージさせますよね。 登場人物もベットリ汗かいてないし。(笑) 湯とハリセンボン・・・失礼しました〜。でも私の目には似て見える・・・。 シーチョンは可愛かったですよね。 でも私メガネでは彼は氷川きよし似です。(笑)
sabunoriさん、こんにちは。
ようやく僕も観てきました。いつもなら公開直後に観に行くのですが、 一緒に行く友達との都合上、少し出遅れちゃいました。 なので、sabunoriさんの記事を読むのもずっとガマンしてたんです。笑 清潔感ある瑞々しい青春映画で、とても印象に残りましたね。 スクリーンで観ておいて良かったと思います。 言われてみれば確かに常に風を感じる清涼感みたいなものがありましたよね。 僕は予想外に男子7人が女子的な仲の良さに映ったので少しビックリしました。 逆に女子の方がサバサバしていたように感じたんですよね。個人主義と言うか。(続く)
(続き)僕はチーションがなぜそこまでしてポーチューを庇うのか不思議に思っていました。
単なる友情だけとは思えなかったんですよね。 何か秘密でも握られているんじゃないかと。 事件を起こす前にポーチューが教官と何かを話していることが気になっていたのもあって。 結局、その辺りの伏線は描かれることなく、 トム・リン監督曰く、解釈は観客に委ねると言っていたようです。 僕も学校名と氏名入りの制服が妙に可愛く思えました。 名札の制度がないから、制服のシャツに穴があくこともないんだなぁって。笑 指導する教官が現役の軍人だったことにも驚かされましたね。 『花蓮の夏』を観た時にも思ったんですが、 いつかこの作品の舞台となった新竹にも訪れてみたいです。
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sabunori at 2009-09-26 13:13
Elijahさん、お返事遅くなってスミマセン!
お待ちしておりました〜。(笑) あの年頃の子って男子の方が結構子供ですよね。 だから男子7人がツルんでいて女子がクールなのも私は違和感なかったかな。 だけどあの7人の学年混合グループには意表をつかれました。 Elijahさんのご指摘の通り日本だと学生時代の友人は横社会だから 同級生同士のグループになりますよね。そこがまた新鮮でしたね。 それにしてもシーチョンがポーチューを庇った理由・・・そこまでは考えつき ませんでしたー。ただただ友情に厚い男子だったのね!と単純に解釈してしまい。 確かに教官とポーチューの会話がひっかかりますね。 あれは一体何だったのだろう。 (続く)
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sabunori at 2009-09-26 13:20
Elijahさん、こちらも続きです。(笑)
私も7人の中で一番惹かれたのはヤオシンでした。 正義感が強くて感情的で自分をまげない・・・そんな性格も、そして Elijahさん同様外見的にも彼が一番好みでした。(ライバル!?笑) 仲間と仲たがいをして1人教室で食べる昼食・・・。 気を取り直してみんなの集う屋上に向かったのに鍵がかかって自分だけ 屋上へ行けない。 あの時のタンの孤独感、疎外感は誰もがきっと経験したことがあって 手に取るようにわかる苦い思いですよね。 私も花蓮、そしてこの新竹と絶対訪れたい場所がまた増えてしまいました。
滑り込みで観ることができました!
こういう日本だと無名の出演陣の作品は、おひとりサマで観るしかなく(^^; 友人もきっと好きな作品だったのにぃ~と思いながら、実は方向音痴で、行きも帰りも迷子になったのが悔しかったです(笑) カッコつけて友達にいいところを見せたいアノ頃の男子。 誰にも覚えがある一つ一つのシーン。 そんな子に惹かれてしまう女の子もまた、身近に感じられ、 屋上に立つペイシンには胸がキュンとしてしまいました(涙) 本当にこれは10年後の彼らに会ってみたいですよね☆
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sabunori at 2009-10-26 13:31
kiraさん、初めて行かれる劇場での鑑賞だったのでしょうか。
お疲れ様でした。(笑) でもそれでも観てヨカッタ〜と思える作品でしたよね?(そうだといいな) 日本では有名な俳優が出演していないという理由だけで観逃してしまうには あまりにも惜しい作品だと思います。 誰もが1度は通ってきた照れくさいような甘酸っぱいような高校時代の思い出が 蘇りますよね。 あの屋上に立つペイシンの後ろ姿は表情も感情も見えないだけに 胸にきました・・・。 決して大作ではないけれど忘れられない作品になりそうです。
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acine at 2010-09-18 23:43
sabunoriさん、こんばんは!やっと今頃見れました♪
確かに!いつも思うけど、台湾の子って、あの小ざっぱり感、 清潔感が素敵ですよね~!今や日本が失ってしまったものの 一つですね。 いつ見ても、台湾の若い子ってなーんて可愛いんだろう!って 思いますもん。 あの吹奏楽部に誘ってた女の子もすごく可愛かった! 意外とあっさりした映画だな~と思って見てたけど、後半の 重さが けっこう身に染みました・・・。静かな描きだからこそ重い・・・ でも、エンディングはどこか希望が持てるのが良かったです。
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sabunori at 2010-09-19 22:11
acineさん、こんばんは★
時代設定が少し前なのもありますが、日本の高校生と比べると 本当に清清しいですよねぇ。 吹奏楽部の女の子、この作品の後「台北に舞う雪」にも出ていたのですが 今風な元気な女の子を演じていました。 そちらも可愛かったですよ。(好みでいえばやはり本作の彼女ですが) 静かな展開ですがそれだけに1人1人の心の動きや思いが胸に沁みる 作品でしたね。
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