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1949年のパリ。夫の転勤でパリにやって来たジュリア(メリル・ストリープ)は 「自分のやりたいこと」を探していた。 いろいろ始めてみてはこれというモノを見つけられず空回りの妻に夫ポール (スタンリー・トゥッチ)は問う。「君が一番好きなことは?」 間髪いれずに笑顔で答えるジュリア。「食べること!」 かくしてフランスの名門料理学校コルドン・ブルーでフランス料理をみっちり 学んだジュリアはその後英語で書かれたフランス料理のレシピ本を出版し、 テレビの料理番組で人気者になる・・・。 一方2002年のニューヨーク。 30歳を目前に控えたジュリー(エイミー・アダムス)はただ過ぎる日々から 抜け出したいと思っていた。 そんなある日ジュリーは閃いて夫エリック(クリス・メッシーナ)に宣言する。 「大好きなジュリア・チャイルドの料理本524のレシピを1年で全て作って ブログで紹介するわ!」 50年の年月を経て繋がる実話で綴る2人の女性の美味しい物語。 ジュリア・チャイルドはアメリカでは誰もが知る愛すべき料理家だという。 185cmの長身にカン高い声と表現力豊かな表情。 周りの人々を思わず笑顔にしてしまうその大らかな性格で 彼女を知らなかった私でさえ魔法にかけられたように彼女を大好きになってしまう。 本日発表されたゴールデンゴローブ賞で主演女優賞にノミネートされた メリル・ストリープは決して好きな女優ではないが、このジュリアを楽しんで 演じているのが手に取るようにわかる。 このジュリア、何がステキかってその明るく負けず嫌いな性格。 コルドン・ブルーに入学した当初は包丁使いも他のクラスメートに劣っていた。 そこで早速家で猛特訓。 仕事から帰ったポールが目にしたのは台所で無心にタマネギを刻み続ける妻の姿。 あれは一体いくつ刻めばあれほどの山になるのだろう。・・・100個くらい??(笑) ジュリアの作る料理を心からおいしそうに食べるポールとそれが嬉しいジュリア。 2人を見ながらいい夫婦だなぁとしみじみ思う。 パートナーとの食の相性というのはかなり重要な気がする。 同じものを食べて「おいしいねぇ!」と微笑みあえる関係はやっぱり素晴らしい。 さて一方のジュリー。 彼女は小さな頃から家にあったジュリアの料理本に慣れ親しんでいた。 ジュリーが平凡な毎日を変えたくて始めたブログ「ジュリー/ジュリア・プロジェクト」。 365日で524レシピを制覇なんて無茶にも思えるけれど、 この企画の楽しさに私も一緒に思わずワクワク。 「こんなブログ、誰かが見てくれてるのかしら」とつぶやくジュリーに 思わず「わかるわ・・・」と心で相槌を打ち、初めて届いたコメントに喜ぶのも束の間 自分の母親からだったと知って落胆する彼女に「頑張れ」と声援を送る。 こうして笑ったり落ち込んだりしながらレシピを1つ、また1つとクリアするごとに ジュリーは自分の手で自分の人生を切り開いていく。 きっかけや手段なんていくらでも目の前に転がっているのだ。 こちらのジュリーとエリックも若いが故にぶつかりつつも、 ジュリアとポール同様ステキな夫婦だ。 キッチンでもパールのネックレスを必ずつけているジュリアを真似る彼女に 夫のエリックがパールのネックレスをプレゼントするエピソードは温かく、 終盤ブログに対するジュリアの感想を知って落ち込むジュリーに優しく包み込むように 話しかけるエリックの言葉は心に沁みた。 それにしても1つだけ疑問だったのはジュリアがジュリーのブログに対してもらしたという 気持ち・・・あれをあえて付け加える意図とは何だったのだろう。 もしかしたらブログがきっかけで昔の夢だった作家への道が開け、 有頂天になるジュリーに対する戒めとして神様が彼女に送った言葉だったのだろうか。 それでもジュリーにとってジュリアは憧れの女性。 博物館を訪れ、感謝の気持ちでジュリアのキッチンの展示場にバターを置く彼女は 1年前の人生に投げやりな彼女とは別人のように輝いている。 この作品を観終わると俄然料理をして家族で食卓を囲みたくなる。 料理が揃ったら家族の前でこう言おう。 「ボナペティ!(召し上がれ)」。 ジュリー&ジュリア オフィシャルサイト
by sabunori
| 2009-12-16 20:36
| MOVIE
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Trackback(6)
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Comments(6)
Tracked
from 真紅のthinkingd..
at 2009-12-18 13:24
タイトル : ボナペティ!〜『ジュリー&ジュリア』
JULIE & JULIA 1949年、アメリカ人主婦ジュリア・チャイルド(メリル・ストリープ)は外交官 の夫ポール(スタンリー・トゥッチ)の転勤に伴い、パリに移住する。食べること が大好きな彼女はフ...... more
Tracked
from ヨーロッパ映画を観よう!
at 2009-12-18 23:53
タイトル : 「ジュリー&ジュリア」
「Julie & Julia」 2009 USA ジュリア・チャイルドに「プラダを着た悪魔/2006」「いつか眠りにつく前に/2007」「大いなる陰謀/2007」「ダウト 〜あるカトリック学校で〜/2008」のメリル・ストリープ。 ジュリー・パウエルに「チャーリー・ウイルソンズ・ウォー/2007」「魔法にかけられて/2007」「サンシャイン・クリーニング/2008」「ダウト 〜あるカトリック学校で〜」のエイミー・アダムス。 ジュリアの夫ポールに「ターミナル/2004」「プラダを着た悪魔」のス...... more
Tracked
from シネマ親父の“日々是妄言”
at 2009-12-20 03:22
タイトル : 「ジュリー&ジュリア」人生、ポジティブ・クッキング!
[メリル・ストリープ] ブログ村キーワード “名女優”メリル・ストリープ、実在の料理家、ジュリア・チャイルドに挑戦!「ジュリー&ジュリア」(ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント)。あ、この人アメリカでは有名な女性だそうです。て、言われても吾輩は、知りませんでしたが。しかもこの人デカイんだわ、ガタイが!(^^;。 1949年。身長185cm、甲高い声の女性ジュリア・チャイルド(メリル・ストリープ)は、外交官である夫・ポール(スタンリー・トゥッチ)の転勤に伴い、パリへやって来る。こ...... more
Tracked
from cinema!cinem..
at 2010-02-17 00:31
タイトル : 『ジュリー&ジュリア』
ずっと観よう、観ようと思っていたのに時間があわずに観られなかった『ジュリー&ジュリア』。 新宿武蔵野館での最終上映日だったと思われる2/4にやっとのことで観てきましたー。 料理とブログを題材にしている映画、とっても興味深い感じで観られました。 ***************... more
Tracked
from KINTYRE窶儡DIARY
at 2010-09-26 11:36
タイトル : 映画『ジュリーとジュリア』を観て
9-67.ジュリーとジュリア■原題:Julie&Julia■製作年・国:2009年、アメリカ■上映時間:123分■鑑賞日:12月28日、TOHOシネマズシャンテ(日比谷)■予告編□監督・脚本・...... more
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from 映画のブログ
at 2010-10-12 23:24
タイトル : 『ジュリー&ジュリア』 2人の対立は解消できるか?
【ネタバレ注意】 映画化に当たって、原作と原作者を批判的に取り上げるとは、ノーラ・エフロン監督も難題に挑んだものである。 しかしそのために、二つの原作を用意して相殺させるのは、なかなか巧い汐..... more
sabunoriさん、こんにちは~。
素晴らしい夫婦愛の映画でしたね~。どちらのカップルの旦那さんも、本当に素敵な男性でした。 2002年にはジュリアはもう最晩年だったと思うので、ブログとかよくわかっていなかったのではないでしょうか? 「コンピュータを使って料理を作る」くらいに思ってたのかも。。 それが「無礼」発言になってしまったのかな?と思いました。 ところでコーヒー漬けになってしまった『複雑な彼』って面白そうですね! トップの写真はギバちゃんかと思いましたが・・・。ゴメン、田宮さん
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sabunori at 2009-12-18 23:37
真紅さん、こんばんは。
ものすごく元気が出る物語だったのですが1つだけあのジュリーのブログに対する ジュリアの気持ちのエピソードだけがどうにも気になって。 わざわざジュリーの耳に入れる必要があったのかしら?とか そもそもジュリアが言ったということ事態本当だったのかしら?とか・・・。 真紅さんのおっしゃるようなそういうコトだったんでしょうかね。 妙にひっかかってしまいました〜。 ジュリアとポール、共に大往生でしたね! ところでギバちゃんに見えましたかーははは、なるほど。(笑) 軽くサラリと読めておもしろかったですよ、「複雑な彼」。
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margot2005 at 2009-12-19 00:03
sabunoriさん、こんばんは!
フランス&イタリア映画も好きですが、フランス&イタリア料理も好きなんで、家でも作ります。ジュリアみたいに時々失敗しますが...家族が喜んで食べてくれるってスゴい励みですよね。また作ろう!って思いますもの。 さてメリルはゴールデン・グローブにノミネートですか?上手いですよね何をやらしてもメリルはさすがの演技者だと思います。 元気が出る映画なんて紹介してますが、その通りですね。 週末に何か作ってみたくなり今日マーケットでバター&生クリーム仕入れましたわ。
sabunoriさん、こんばんは。
僕も観てきました!とても温かな気持ちになれる作品でしたね。 感想がほぼsabunoriさんと似た感じだったので、共感しつつ記事を読ませて貰いました。 僕もメリル・ストリープは特に好きという訳ではないのですが、今回の役柄は見事にハマっていて恐るべし!と思わされました。 タマネギのシーンは可笑しかったですよね。 >ジュリアがジュリーのブログに対してもらしたという気持ち ↑これに対する回答がノーラ・エフロン監督の見解としてパンフレットに書いてありましたので抜粋しますね(以下、ネタバレです)。 『おそらくジュリアはジュリーが料理に対しての情熱ではなく、自分の仕事や夢に対して野心を持って、ブログを書いたと思っていたんじゃないかしら。 多分、もう少し時間があれば、ジュリアも理解できたと思うわ。 だけど、初めてジュリーのブログのことを聞いたときは、彼女に自分が利用されたと感じたのではないかしら? おそらく、ジュリアは書いた本がどのように使われるのか分かっていなかったのでしょうね。』とのことでした。 これを読んで、僕はようやくスッキリできました。
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sabunori at 2009-12-20 22:06
margotさん、こんばんは。
あのバターの量、すごかったですね。 でもバターを使うと美味しくなるっていうのはわかります。 最近はヘルシー志向ですけどたまにはあんな風にダイナミックに バターを使ってお料理してみたくなりました。 margotさんはこの週末はバター&生クリ-ムでどんなご馳走を作りましたか? 私はこの作品を観て今までなぜか作ったことのなかったポーチドエッグを 作ってみようかな~という気にまりました。
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sabunori at 2009-12-20 22:26
Elijahさん、こんばんは★
実は公開前にElijahさんが「観たい作品」としてチェックされていたので この作品を知りました。 なのでElijahさんに感謝!なのです。ありがとー。 人はほんの小さなきっかけと努力で幸せになれるんですよね。 そんな誰もが持つ可能性を教えてくれる嬉しい作品でした。 タマネキを誰よりも早く刻めるようになって大喜びするジュリア、可愛かったです。 ところでジュリーのブログに対するジュリアの反感についての解説、 ありがとうございます。 そうか・・・そういうことだったのですね。すっきりしました。 と同時にあのエピソードをあえて入れる必要があったのだろうか?についても 鑑賞後考えてしまったんですよね。 でもあれがあったからこそ、落ち込むジュリーを励ますエリックの素晴らしさも 描けかれたわけだし、どう思われようとも自分が信じるものを愛する ジュリーの態度もステキでした。 あの博物館のシーン、ジュリーのジュリアへの気持ちが伝わってきて 思わず笑顔と涙がいっぺんに溢れてしまいました。
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