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ラスベガスへ向かう途中の砂漠にポツリとあるカフェ兼モーテル兼ガソリンスタンド 「バグダッド・カフェ」。 寂れたこの店の女主人のブレンダ(C.C.H.パウンダー)は 役立たずの夫、子供の面倒も見ないで一日中ピアノを弾き続ける息子、 男と遊んでばかりで家にいつかない娘に腹をたて怒鳴りちらす毎日。 そんなある日旅行中に夫とケンカ別れした1人のドイツ人女性ジャスミン (マリアンネ・ゼーゲブレヒト)がやって来る。 最初は彼女の存在を疎ましく思っていたブレンダだが、子供たちもそして彼女も 次第にジャスミンに心を開いていくのだった・・・。 20年たっても素晴らしい作品というのは決して色あせることはない。 今回劇場へ足を運びしみじみそう感じた。 生活に疲れた黒人女性と太っちょのドイツ人女性。 前回彼らに出会った時私はまだ若くて、彼らの苛立ちやらあきらめやら そういうものがどこか遠い世界のハナシに映った。 だけど今の私にはそれがしみじみ理解できる。 嗚呼いつの間にやら私も大人になっちゃったんだなぁ。 ジャスミンはまるで天使だ。 つたないドイツ語訛りの英語をしゃべるふくよかなエンジェル。 彼女の存在がブレンダに笑顔を思い出させ、バグダッド・カフェに生命を吹き込む。 練習してカフェで披露するジャスミンのマジックが人気をよんで 客が仲間を誘い合ってバグダッド・カフェにやってくるようになる。 「あそこのショーはラスベガスのなんて目じゃないぜ!」 (それは言いすぎな気もするが 笑) そしてブレンダとジャスミンが客を巻き込んで歌い踊るショーの楽しさ! このシーンだけでもこの作品を観る価値がある。 ジャスミンがブレンダの娘の手のひらを見て言う。 「手のひらは白いのね」 「そうよ。かわいい手でしょ」 こんな他愛の無い2人の会話。 なぜかこれが以前観た時に一番印象に残ったシーンだった。 今回20年ぶりにそのシーンを眺めながら「言ってる言ってる」と妙に嬉しくて。 カウボーイきどりで絵描きの初老の男(ジャック・パランス) モーテルで刺青彫りの商売をする謎の美女 敷地内にテントを張って居つくバックパッカーの若い男 そして仕事帰りに立ち寄るトラック運転手のいかつい男たち バグダッド・カフェに集まるのはどこか風来坊のニオイのする者たちばかり 彼らはどこから来てどこへ行くのか・・・。 この場所はまるで人生の中継地点。 ここでは時はゆったりと流れ日々の喧騒とは別世界。 しばし薄いコーヒーを飲みながら砂漠に沈む夕陽を眺めていたい。 バグダッド・カフェといえば「CALLING YOU」が有名だが 私は挿入歌の「BRENDA,BRENDA」の方が好き。 この曲を聴くとみんなで歌い踊るあの愛すべきシーンが蘇る。 バクダッド・カフェ(ニュー・ディレクターズ・カット版) オフィシャルサイト ドイツ映画
by sabunori
| 2010-01-07 21:05
| MOVIE
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Trackback(1)
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Comments(6)
Tracked
from It's a wonde..
at 2010-01-08 00:07
タイトル : 「バクダッド・カフェ」
1989年/西ドイツ 監督/パーシー・アドロン 出演/マリアンネ・ゼーゲブレヒト CCH・パウンダー 80年代の傑作がニュー・ディレクターズ・カット版として再度スクリーンに登場。ファンタジーのような、素敵な作品でした。 アメリカ西部の砂漠に佇むカフェ兼モーテルの”バグダッド・カフェ”。そこに辿り着いた一人のドイツ人旅行者ジャスミン。女主人のブレンダは最初彼女を鬱陶しいと思っていたが、やがてジャスミンは周りの人間と打ち解け始め、いつしかブレンダも彼女の友人となってい...... more
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mayumi-68 at 2010-01-08 00:12
sabunoriさん、こんばんは。
怒鳴ってばかりいたブレンダが、ジャスミンと出逢ったことで素晴らしい笑顔を見せるようになるのが良かったですよね。マジックショーのシーンは、ミュージカル好きにとってはとても楽しいシーンでした。 それにしても、これがヨーロッパ映画というのが本当に驚きです。
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sabunori at 2010-01-08 22:45
mayumiさん、こんばんは。
前半のブレンダ、すさんでましたよね〜。(笑) 家出したのにすぐ近所から望遠鏡で家の様子を探る夫のサルも いい味出してました。 あのマジックショーのシーンは本当に楽しくて大好きです。 曲を口ずさみつつジャスミンが舞台に登場するシーンを真似て踊っている私です。(笑) ジャスミンのマジックが日に日にプロっぽくなっていくのにビックリ。 私は最初から「ドイツ映画」というのを知っていたので特に意外には 感じなかったのですが、知らなかったら驚いたかもしれませんね。
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なおみ
at 2010-01-09 23:19
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sabunori at 2010-01-10 21:37
えぇ〜っなおみしゃん、ここって実際に営業しているのですか!?
それは知りませんでした。 なんだかとっても行ってみたくなりました! (って言って明日行くことができるような場所ではありませんが) そりゃこれが見えてきたら感激しますよね! 嬉しさのあまりお店の中でステッキ持って踊っちゃうかも。(笑)
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なおみ
at 2010-01-10 23:00
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サムシェパード:シンパな私は、以前ルート66を回るたびをしたことがあるのです。そのときここをハケ~ン(というか狙っていきましたが)
さすがにド田舎なのでなんにもないのですが、かなり感激します。 日本からもけっこう来訪していましたよ。
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sabunori at 2010-01-11 21:39
サム・シェパード、いいですよねぇ!
私も好きです・・・んが最近はお元気なんでしょうか。 なおみしゃんのお気に入りクリストファー・ウォーケンとサム・シェパード、 どことなく顔のタイプが似ていますよね。 なおみしゃん好みなのはわかるわ〜。絶対どちらも血が青い! 日本人もたくさん訪れていたのは映画公開当時なのかしら・・・。 今はどんな感じなのでしょうね。
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