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あらすじなどは前回台湾版DVD鑑賞時の感想に記したので割愛。 今回鑑賞して驚いたのは作品中にこれほど多くの台湾語が使われていたということ。 前回は字幕を追うのに必死だったようで(笑)台湾人同士の会話のほとんどが 台湾語だったとは気づかなかった・・・。 前回も思ったが阿嘉たちの組むバンドのあまりの華のなさが妙に愛しい。 台北でモノにならなかったミュージシャンに警官に修理工に酒のセールスマンに 子供に国宝爺さんって。(笑) それでもコンサートシーンでは全員えも言われぬほどステキに見えるからあら不思議。 それもそのはず茂爺さんが中国伝統楽器北管の台湾国宝級奏者なのをはじめ、 男性全員本業はミュージシャンなのね。 楽器ができる俳優ではなく演技ができるミュージシャンだったワケか・・・。 特に馬拉桑(マラサン)がベースを弾く姿はそれまでのコミカルで 猫背気味な彼とはうって変わって魅力的。 大大(マイズ:麥子)の大人顔負けのクールさにも惚れ惚れ。 エレベーターの中、周りの大人たちを無視し完全に自分の世界に入り込み 歌い上げていたあの曲もよかった。 海辺で男の子と肩を並べているシーンでは一瞬いやん、ボーイフレンド!?と 思ったけれどどう見ても弟だわね。(笑) 台北でミュージシャンになる夢をあきらめ故郷の町に戻った阿嘉(范逸臣:ヴァン)と 本来やりたい仕事がうまくいかずなかばヤケをおこしている友子(田中千絵)。 考えてみると2人とも物語の中盤まで絶えず不機嫌な表情を見せている。 しかしそれが重くならないのはバンドのメンバーの面々が集結するまでの ちょっとドタバタで微笑ましいエピソードたちのおかげかもしれない。 そして日本語で織り込まれる60年前のもう1つの日本人教師と友子の物語。 2つの物語が交差する場面は実のところそれほど多くはない。 その60年間出されることがなかった手紙を阿嘉がそっと配達するのみだ。 中身を見てしまったものの阿嘉は日本語を理解しないだろうし その手紙の内容を詳しく知る由もない。 しかしそれが大切な手紙だということは十分伝わったはず。 手紙を読んだ友子に「大切な手紙だから絶対に届けてあげて」と言われなくとも。 60年間出せなかった手紙を今手にしたからといって60年の月日が戻るわけではない。 それでも伝えたかった想いを手渡すことはできる。 恋人が去ってしまった後の友子の人生はどんなものだったのだろう。 どのくらいの間泣き暮らしたのだろう。 置き去りにした立場の方が置き去りにされた方より辛いのは 相手をどれほど傷つけてしまったのかが計り知れないからかもしれない。 そして60年の時を経てかつての恋人の気持ちを知ることになった友子は 一体何を想うのだろうか。 大切なものを手離してしまわぬように、 取り返せない過去を悔いながら生きないように・・・ それは60年前の手紙から阿嘉たちへのメッセージだ。 阿嘉は手紙ではなく歌という形で自分の素直な想いを現在の友子に託す。 曲のタイトルをかつて日本人教師が海を越え再び訪れたいと心に願ったであろう 「海角七号」に変えて。 あの南国の地、台湾で聴く日本語と中国語で合唱される「野ばら」の美しいメロディ。 2つの国の過去の出来事を考えつつ、素晴らしい台湾・日本の合作に拍手を送りたい。 海角七号ー君想う、国境の南ー オフィシャルサイト
by sabunori
| 2010-01-15 13:40
| MOVIE
|
Trackback(3)
|
Comments(8)
Tracked
from 夢の国・亞洲文化宮
at 2010-01-16 08:28
タイトル : 海角七号 君想う、国境の南
2008年/台湾/2時間10分(劇場にて鑑賞) 監 督 魏徳聖(ウェイ・ダーション) 原 題 海角七號 英 題 CAPE №7 出 演 范逸臣(ファン・イーチェン) 田中千繪 中孝介 梁文音(レイ...... more
Tracked
from 真紅のthinkingd..
at 2010-01-27 20:05
タイトル : 虹の架け橋〜『海角七号/君想う、国境の南』
海角七號 台北でミュージシャンになる夢に破れた阿嘉(ファン・イーチェン)は、故郷・恒春 に帰郷する。郵便配達の職を得た彼は、「海角七号」という今は存在しない住所 宛の手紙を見つける`..... more
Tracked
from Mi cinema log
at 2010-03-31 20:47
タイトル : 海角七號 海角七号/君想う、国境の南 ’08 台湾
やっと見れました タイトルからして いかにも台湾映画らしい まったり・ゆったりとした独特の台湾時間が流れて ノスタルジックな映画かなーと思っていたら 元気のいいロックで始まるこの映画 いい意味で予想を裏切られた・・・! 詳しく:eiga.com 台湾の南部の街はタイプは違うけど なんとなく”ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ”に出てくる キューバのハバナの街みたいな感じだなぁ・・・って 青い空 青い海 まったりとした時間 オールドファッションで 元気で人間くさ...... more
こんにちは♪
このコンサート風景を、手紙を書いた先生に見てもらいたかったなあと、 今ふと思いました。 もちろん、あの友子さんにも!!姿かたちのみの登場で、かえって 彼女の人間性がより深く伝わったように思います。 最初にDVDを鑑賞したときには、序盤、阿嘉と友子が心を通わすとは 思いもしませんでした。 60年前の手紙がもたらした奇跡を、今さらながら実感しています。 そうそう、タイトルを「海角七号」に変えたのですよね。それも考えに考えた上で。 阿嘉の覚悟かしら。ここにもじーんときます。 sabunori さんのレビューを拝見しているうちに、あの手紙の内容が よみがえってきて、胸に響いています。
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sabunori at 2010-01-16 22:10
孔雀の森さん、こんばんは★
孔雀の森さんが書かれていたように、もし茂爺さんがケガをして阿嘉に 郵便配達を頼まなければ、 もし阿嘉がキチンと仕事をこなす配達員だったら、 この物語は成立しませんでしたよね。 そして現在の友子があのホテルに滞在していなければ大大のお母さんとも 接点がなく、友子さんへの手紙を渡すこともできなかったはず。 映画だからということではなく、きっと私たちの人生もこういういくつもの 「もし・・・」が重なって今日があるのだと思います。 コンサートシーンでの「野ばら」の日台合唱も良かったですが、 冒頭茂爺さんがバイクで郵便配達をしながら口づさむ「野ばら」もまた 味があって良かったですね。
sabunoriさん、こんにちは~。
と、今はお里帰り中なのですね。。ウラヤマシイ 留守中に失礼します。 この映画の感想は、sabunoriさんがDVD鑑賞記の最後から二行目に書かれた一文に凝縮されているような気がします。 私は台湾には行ったことがないのですが、いつか必ず訪れたいと思っています。 しかし、、、あの茂じいさん、本当に人間国宝なんですか?! 感想に「自称」なんて書いてしまった・・・許せ、じーさん(笑)。 この茂じいさんのキャラが大好きでしたわ。。 大大の、ほとんどないに等しい眉も微笑ましかったです。
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sabunori at 2010-01-30 21:44
真紅さん、こんばんは。
お返事遅くなりゴメンナサイ! 無事戻りましたー。 茂じいさん・・・自称ではなく本当に国宝のようですね・・・ビックリですよね。 あの親しみやすさとキャラの可愛さと演技力。(笑) 大大・・・確かに眉薄かったですねぇ。 子供なのにドキッとするほど大人っぽかったり、信仰心もしっかりあったり 魅力的な少女でした。 ところで馬拉桑(マラサン)のお酒が劇場で売っていたんですか!? 知・・・知らなかった〜。 チェックしに行ってみようかしら。(笑) 過去は決して消えるものではないけれど、それを受け止めた上で 手を取り合って映画を作り上げ、台湾の人たちもまたこの作品を 受け入れてくれたことに感謝したいですね。 私もまた久しぶりに台湾へ行きたくなりました。 真紅さんもいつか是非!
sabunoriさん、こんにちはです。
何時もこっそり拝見させて頂いてたのですが、この作品が好きなので勇気を出して書き込む事にしました。 登場人物が皆個性的で味のある人達で、台湾の温暖な景色と相俟ってほのぼのと癒されましたww 茂じーちゃん、可愛すぎです。 阿嘉の元に手紙がたどり着いたり友子と出会う偶然と時を超えた人の絆の素晴らしさを感じさせるそんな作品でした。 「九月に降る風」など最近台湾映画は良い作品を作ってるので目が離せないです。
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sabunori at 2010-01-31 20:31
はってぃんさん、初めまして。ようこそいらっしゃいました!
おっしゃる通りこの作品の大きな魅力の1つは個性的な登場人物たちの 味のあるキャラクターですよね。 現在と1945年当時の2つの物語が実にさりげなく交差するあたりが サラリと描かれていてそのへんも大げさな物語にならずよかったですね。 私もここ数年、その年のベスト10を考えると必ず上位に台湾映画が ランクインしていることに気づきました。 心にストンと馴染む素晴らしい作品がたくさんあって私も台湾映画から 目が離せません! ・・・3月の大阪アジアン映画祭でも台湾映画が上映されますね。 ご覧になりますか?私はもちろん観る予定です!
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acine at 2010-03-31 20:49
sabunoriさん やっと見れましたー♪
大部分で、現代版友子が怖ーっ(笑)と思って見てしまった以外は (これは演出に問題ありかな?日本娘あんなに怖くないよねー?!) とてもいい映画でした。 私もあのバンド大好きでしたー!あの爺さんにマラサン!に! ↑ 馬拉桑のお酒売ってたんですって?とそこに反応してしまいます(笑)。あの街の人間の距離感。歳も性別も関係なく、バンドといい、 あの日常といい、大きなムラ社会がとてもうらやましかったですー。 あんなところで暮らしたいなぁ・・・と思って見てました。 野ばら・・・そして友子さんの後ろ姿、そしてお年寄りの日本語・・・ しみじみとしましたねー。ヒステリックな友子以外はとても 良い映画だったと思います♪
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sabunori at 2010-03-31 22:48
acineさん、お待ちしておりましたよ〜。
あのヒステリックな友子は私もダメでした。 バンドのまとめ役なんていう大役をこなせるほどの能力もあるとは思えないし 申し訳ないけど可愛いとも思えず・・・。(苦手な顔) 本当に彼女以外はよかったですね。 のんびりした空気の南国の土地。 台湾って台北以外の郊外の土地もものすごく魅力的ですよね。 映画の舞台になる土地を見るたびに「あぁ、ここに住みたい!」と思う私。 台湾の人々の言葉って台湾語でも北京語でもなんとも耳に心地良いですよね。
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