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古びた木造アパートに住む真木栗勉(西島秀俊)は売れない作家。 ふとしたきっかけで部屋の東西の壁に1つづつ穴を見つけ、 時々そこから隣人の生活を覗き見するのが日課となった。 そんな真木栗は唯一の収入源である連載小説が終了してしまい 誘われるままに官能小説の連載の依頼を受ける。 思わず引き受けてみたものの筆が進まず四苦八苦するはめに。 そんな折ふと今まで空き部屋だった東隣の部屋を穴から覗くと いつの間にやら女が生活を始めていた・・・。 古い木造アパートの万年床の部屋(そういえば部屋にはテレビもない) 洗面器をかかえて通う銭湯 おしゃべりなオバチャンが何かと世話をやいてくれる中華料理屋での食事 万年筆で手書きする原稿・・・ 真木栗の周囲に広がるのはどこか懐かしい昭和の香り。 西島英俊がハマリ役。 彼の出演作の中では(全てを鑑賞しているわけではないが) ダントツにこの作品が好き。 やる気があるんだかないんだか・・・ 世慣れしているんだか純粋なんだか・・・ どこか飄々とした真木栗という男は妙に魅力的だ。 隣の部屋を覗く時にはなぜかヨガポーズ風。(笑) 時々堰を切ったように思いのたけを語り出すのも可笑しいやら可愛いやら。 「寂しいと誰かと一緒にいたくならない?」とオンナに問われ 「それだと寂しくなくなったら相手は不要になってしまうってことでしょ? そんな関係はよくない」と答えたり 「部屋に穴があっても絶対に覗かない」と言う担当者の女性に向かって 「君はウソをついている。それは『私はウ〇コをしません』って言ってるようなもんだ。 ウ〇コは誰だってするのに、あんなに汚いモノが自分のお尻から出るのが イヤだから隠すんだ」とまくし立ててみたり。(この発言はなかなかスルドイ) 「真木栗」って一体何なんだろう。 タイトルの不思議さにまず惹かれた。 ところがフタを開けてみればナンのことはない。 主人公の作家の名前だったのね。(笑) しかし考えてみればものすごく意味深いタイトルなのかもしれない。 「穴」というのはもちろん真木栗の部屋の穴なのだが ひょとすると偏頭痛持ちの真木栗の頭にポッカリと開いた穴があるのかも。 なんとも摩訶不思議な物語。 ほんのりエロティックスリラーのようなファンタジーのような。 考えてみるとこの物語にエンディングは存在しない。 始まりが終わりのようで、終わりが始まりのようで・・・まるでメビウスの輪。 観終えてはて、どのエピソードが始まりなのだろう?? などと考え始めたとしたら、それはもうドップリと真木栗ワールドにハマっているのだ。 はい、私ももちろんハマりました。 真木栗ノ穴 オフィシャルサイト 2007年 日本映画
by sabunori
| 2011-10-20 20:39
| DVD・VIDEO・TV
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