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裕福だが絶えず喧嘩をしている両親のもとで常に孤独を感じている 少女小美(徐嬌:ジョシー・シュー)が心のよりどころとしているのは 1人山に住む祖父(曾江:ケネス・ツァン)の存在。 ところが小美へのプレゼントの象の人形を作りかけのまま 祖父は亡くなってしまう。 そんなある日暴力をふるう父親から逃れるため母と2人住む場所を 転々とする少年小傑(林暉閔:リン・フイミン)が転校してくる。 いつしか心を通わせ合う2人。 ついに両親が離婚することになった小美は小傑とともに 祖父が住んでいた山の上の小屋へ行くことにする。 世界一美しい星空を見るために。 原作は台湾の人気作家、幾米(Jimmy)の絵本。 本作はもとより、彼の本は読んだことがないのだがその評判は 耳にする機会が多い。 原作を知らずに言うのも無責任な話ではあるが、 おそらく原作のイメージを損なうことなく幾米の描く世界と 林書宇(トム・リン)監督の映像、そして五月天のテーマ曲が 織り成す美しい三重奏となっていると確信する。 トム・リン監督の前作「九月に降る風」同様本作にも絶えず吹き抜ける 清清しい風と透明感のある空気を感じる。 物語自体はそれほど複雑ではない。 しかしティーンエイジャー特有のもろく傷つきやすい心のひだを 優しい視線で丁寧に描く一方で 紙の動物たちの行進やジグソーパズルといったおとぎ話のような 楽しい映像が盛り込まれることで独特の世界観が広がる。 私の隣の席の女性は中盤から涙が止まらない状態でこの作品を鑑賞していた。 その気持ちはとてもよくわかる。 大袈裟な感動作ではないが心の奥にしまいこんだ何かを思い出してしまう・・・ そんな宝箱のような作品だった。 主演のジョシー・シューちゃんは「ミラクル7号(長江7號)」で 周星馳の息子役を演じていたあの少女。 まったくもって月日のたつのは早いものだ。 本作ではすっかり女の子らしくなっていた彼女。 きっと次回作では少女ではなくなり綺麗なお姉さんになっていることだろう。 ちなみに本作では彼女がアップになるたびに「愛子さまに似てる・・・」と 思わずつぶやいてしまう私なのだった。 おじいさんが1本だけつけられなかった象の人形の足、 なくしてしまったジクソーパズルの最後の1ピース・・・ 小美にはどうすることもできない大切だけど未完成なかけらたち。 それはまるで人生のようだ。 だけど一生懸命生きていればきっと未来が開ける。 悲しい別れがあってもその先にきっと嬉しい出会いや再会が待っている。 2011年 台湾・香港・中国合作<「大阪アジアン映画祭2012」にて鑑賞>
by sabunori
| 2012-03-23 20:09
| MOVIE
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Comments(4)
こんにちは♪
レビュー拝見してうずうずしてしまい、ネットで観てしまいました。 劇場公開、あるいはDVD購入の時が来たら、感想を書こうと思います。 ミラクル7号のムスコだなんて、言われなければわからないですね、徐嬌ちゃん。 たしかに愛子さまに似てると思いました。 銀河鉄道で小美に寄りかかっていた小傑も、旅の終わりには頼もしい存在に なっているなど、傷つきながらも成長していく2人がキラキラして見えました。 ジグゾーパズルでの表現や、廃線わきの教会など、ときめきを感じた場面を 数えたらきりがありません。 夢見心地で観ているうちに、終わってしまった…という感じです。
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sabunori at 2012-03-27 09:42
孔雀の森さん、こんにちは。
この作品日本での公開はあるかしら?? 個人的には是非お願いしたいと思うのですが、キャスト陣の日本での 知名度を考えるとちょっと微妙ですよねぇ。 この作品ですが、実は鑑賞したときにはそれほどメチャクチャ気に入ったわけでは ありませんでした。 でも時間を追うごとにドンドンその魅力が増してきて今では今回の アジアン映画祭の中で(私が鑑賞した中では)ベストかも・・・と思えてくるほど。 ストーリーそのものよりも行間にある感情のひだや若い2人が手探りで 懸命に生きる姿、更に映像の素晴らしさを思い存分味わいたい作品ですよね。 できれば劇場公開、それが無理ならDVD鑑賞後の孔雀の森さんの レビューを楽しみにしています♪ ああ、私ももう1度観たくなってしまいました!
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風情♪
at 2012-03-29 16:00
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こんにちは♪
うわぁ~何かコレ、すっげぇ好きそうな作品っすわぁ。 日本での公開は未定なんすか? 来月は観たい作品がたくさんあるんで已む無く密かに 期待していた「台北カフェストーリー」をスルーする ことに決定です。 もし観てたらお薦めか否かだけ教えてくだされ♪ (゚▽゚)v
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sabunori at 2012-03-29 23:30
この作品、きっと風情♪さんも気に入られると思いますよ!
「九月に降る風」のトム・リン監督作なのであの作品同様に清清しくて 心地よい空気を感じる作品です。 今のところ日本公開の情報は聞こえてきていませんが、是非公開して 欲しいです。 ところで「台北カフェストーリー」ですがこちら関西ではいつから公開か まだ未定です。(涙) グイ・ルンメイが主演ですね。 この「星空」にも彼女は成長した主人公の女の子役でゲスト出演しています。 「台北カフェストーリー」、私は公開されたら観てみようと思います。 こちらではこの週末からやっと「父の初七日」が公開です。(遅い!) 鑑賞したらまたお伺いしますね♪
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