宮城・仙台で、できるだけ早く、また皆で映画をつくる。
それが私たちにできることだと思いました。
ー 「ポテチ」製作スタッフ一同 ー
宮城県仙台市で同じ日に同じ病院で生まれた2人の男。
1人はプロ野球選手となりもう1人は平凡な人生を歩むこととなる。
その平凡な方の男今村(濱田岳)は空き巣を生業としながらもその一方で
プロ野球選手になった尾崎に対して心の底から声援を送っていた・・・。
観終えてふと考えた。
そういえばこの主人公今村の職業って空き巣なんだよな・・・。
どんなにエラそうなことを言っても(特別言ってはいないが)
どんなにイイヒトであっても所詮真っ当な道を歩んではいないのだ。
そんなヤツが泣こうがわめこうがだからなんなのよー!
・・・と思ってしまうはずなのだ。私の場合。
だけどそうは思わなかった。
そう思わせない説得力あるキャラクターを演じる濱田岳がスゴイ。
彼がかもし出すあのぬるま湯のような骨なし感に心地良さを感じる。
68分という驚きの尺の短さ。
未読だが伊坂幸太郎氏の原作自体が長編ではないのだろう。
この潔いコンパクトさが新鮮にすら思えた。
それほど多くない登場人物たちのキツ過ぎないキャラクターも心地よく
会話の楽しさに思わず何度も小さく噴き出してしまう。
そんな中ある意味謎に包まれた空き巣の先輩黒澤(大森南朋)の存在が気になる。
人の気持ちが全くわからないと言い放つ彼の人生をもう少し覗いてみたくなった。
他人が何気なく言った言葉がズシン!と心に響いて救われる・・・
そんなコトってあるよね実際。
だからさりげない言葉に思わず泣いてしまった今村の気持ちが愛しい。
ありのままのキミを必要としている人たちがいることに気づかなくちゃ。
ラストのオチにも心がほっこり。
しかし親分、もとい、中村専務が中村義洋監督その人だとは
エンドロールを見るまで知らなかった・・・!
イイトコ持っていったわね、監督。(笑)
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