ハ・ジョンウというのはいい役者だな、と思う。
男前過ぎない顔が悪人と善人どちらにも見えるし
サイコパスにもはたまた凡人にも見える。
不祥事によりテレビのニュースキャスターの座を失い、
やる気のないラジオ番組を担当しているユン・ヨンファ(ハ・ジョンウ)。
そんな彼の番組の本番中にかかってきた1本の脅迫電話。
それは爆弾テロ犯からの取引の電話だった・・・。
最初こそ主人公ユン・ヨンファの過去の栄光と現在の立場が
はっきりと掴めず少々戸惑ったものの、
あっという間に物語に引き込まれてしまった。
爆弾テロによってもたらされるそれぞれの立場の人間のエゴや欲。
そこにあるのは正義感などという甘っちょろい代物ではないというのが
なんともリアリティがあって興味をそそられる。
ユン・ヨンファ自身にしてもこの突発的な事件を利用して
自分のテレビ界への復帰を図るべくすぐさまアクションを起こす。
自分を左遷においやった上司との交渉を電話でしながら
服装をスーツ姿に変え、ヘアスタイルを整え、
ラジオからテレビ対応の自分へと鮮やかに変身させていく。
その無駄のない動きによって私たちは
この人物はいつどこにあるかわからないチャンスを絶えず狙っていたのだ
ということを痛感し男が野心の塊であることを知らされるのだ。
壮絶なラスト。
ユン・ヨンファの背後に映る風景が恐ろしくて恐ろしくて。
私は出来ることなら違う結末を望んでいたのだが・・・。
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