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李碧華(リリアン・リー)という香港人作家を今回初めて知った。 調べてみると「胭脂扣(ルージュ)」、「霸王別姬(さらばわが愛)」、 「餃子」などもまた彼女の作品だという。 この手のオムニバス・ホラー作品は結構お気に入り。 無駄なエピソードをそぎ落としシンプルに1話30分程度で 完結するのも小気味良いし、監督ごとに違ったテイストの作品を 一挙に楽しめるのはなんとも贅沢な気分になる。 同じく李碧華原作の「餃子」が映像化された「三更」もまた私のお気に入りだ。 「贓物」 主演・監督任達華(サイモン・ヤム)。 3作品中、本作が一番「霊」をストレートに扱った作品だと感じた。 なんせ出てくる霊の数が半端じゃない。 彼らの過去(つまり生前)についてもほとんど語られず わずかに描かれるシーンから彼らの背景を想像するしかないのだ。 「腹一杯だ」とつぶやきながら食べ続ける林雪(ラム・シュッ)は きっと生前食べ物を粗末に扱った罰で霊になった今も食べ続けているのか? 交通事故で死んだ夫の骨壺に携帯電話を忍ばせる妻。 「いつでも電話してきて」という妻の思いに思わずホロリ。 どんなに生活に困っていてもそんな他人様の骨壺を盗むなんざ、 任達華演じる主人公にどんな天罰が下っても不思議はない。 「世の中不公平だ」だ? へっ当たり前なんじゃっ!! 「放手」 監督:李志毅(リー・チーガイ) 商売をたたもうと決意した風水占い師(梁家輝:レオン・カーファイ)が 商売最後の日に出くわした招かれざる客。 同じ雑居ビルの数軒隣に店を構える水晶占い師(陳慧琳:ケリー・チャン)との やりとりがホラーでありながらコメディ。 2人揃ってあのまんまるメガネって一体・・・。(笑) 2人が店を構える雑居ビルがまたいかにも!的に適度に場末感が漂っていて 香港にありがちでリアリティ満点。 冒頭に登場する中國冰室も風情があってステキ。 このお店は「TPU」でも登場しているとのこと。 ラストも思わずふふふ、とニヤついてしまう結末。 「驚蟄」 監督:陳果(フルーツ・チャン) 湾仔から銅鑼湾へ向かう途中、ほぼ銅鑼湾の高架下を通るたびに 見かける香港名物ともいえる打小人。 呪って欲しい人物を告げるとおばちゃんは人物の描かれた紙を 一心不乱に古い靴で叩き続ける。 相手を呪い苦しめるのに1年で最適な日である啓蟄。 この場所で長い間打小人の仕事を続けている朱姐(邵音音)が 啓蟄の日に最後に引き受けた仕事とは・・・。 3作品の中で最も引き込まれた作品。 依頼者の女性(陳靜:ダダ・チャン)に何が起こったのか、 そして彼女の目的は最初からある程度予測できる。 しかし彼女の最後の目的がわかった時、胸にひんやりとした 恐怖が沸き起こる。 それと同時に朱姐は始めからきっと全てを悟っていたのだという思いが 胸を締めつける。 そのあたりの見せ方がうまいわ、さすが陳果監督。 「復讐は遂げても虚しさが残る」 ラストに映し出されるメッセージは今、とても大きく感じられるのだ。 2013年 香港映画<香港版DVDにて鑑賞>
by sabunori
| 2015-02-08 17:29
| DVD・VIDEO・TV
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