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鑑賞後にホン・カウ監督作品だったと知った。 それを知ると「追憶と、踊りながら」と同じ香りのする作品だ。 静かに流れる空気、穏やかな口調の会話の中に見え隠れするテーマは 自分の居場所、そしてアイデンティティ。 幼い頃ベトナム戦争後の混乱を避け家族とともにイギリスへ渡った ボート難民のキット(ヘンリー・ゴールディング)が母の遺灰埋葬のために 30年ぶりに祖国ベトナムへと帰郷する・・・。 キットには自分のアイデンティティについての思いがある、 ということは想像できる。 しかし日本で生まれ日本で日本人として育った私にはその大きさや重みを はかり知ることはできない。 キットのパートナーとなるサイゴン在住のアメリカ人ルイス (パーカー・ソーヤーズ)もまた父親がベトナム戦争に従軍していたことから ベトナムに対して負い目を感じており、共に両親がベトナム戦争に関わった 子供世代を生きている。 幼い頃にカンボジアからベトナムへ渡り、その後イギリスへ移住している ホン・カウ監督にとって「どこにも属さない苦しみ」や「居心地の悪さ」は どの作品においてもテーマとなっているのだろう。 市場の雑踏 蓮茶作りの伝統美 ホーチミンからハノイへの寝台列車の旅 そして上空から見る交差点での車とバイクの攻防戦 映像の美しさも存分に味わうことができる私好みの作品だった。 モンスーン オフィシャルサイト イギリス・香港合作
by sabunori
| 2022-01-16 11:40
| MOVIE
|
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Comments(2)
Tracked
from ここなつ映画レビュー
at 2022-01-24 10:44
タイトル : 「MONSOON モンスーン」
ベトナム戦争の事を描いた作品は多い。だが、その多くが悲惨な戦地での戦いであったり、その戦いを終えてPTSDになったアメリカ兵のドラマであったりする。そこに巻き込まれた市井の民が、戦後実際にどのように「普通の生活」を送るために苦難の道を辿り、どんな決断をして次の道に向かって行くかを描いた作品は少ない。少なくとも私は、「悲惨」以外の部分を描いた作品を今回初めて鑑賞した。しかし、間違いなく悲劇が根底にある。時代と政治の波に翻弄された一家と、次の世代のジャーニーを描いた秀作。本作の主役のキット(ヘンリー・ゴ...... more
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by
kogarinta at 2022-01-24 10:46
こんにちは。
私もこの作品の雰囲気好きです。 ホーチミンを出て行った者と、残って生活を営んでいる者との溝のようなものも描き出されていたので、ぐっときました。 ただノスタルジーに浸っていることは、残された者には許されないこと…。 そんな細やかな部分も描いていて良かったと思います。
1
Commented
by
sabunori at 2022-01-29 08:23
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