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ブラボー!! この作品を再び大スクリーンで鑑賞できる日が来るとは・・・! 一昔前の香港映画といえば「んなワケないだろうが!」と突っ込みどころ満載で でもそれが愛しくて愛しくて他の人にはわかってもらえないだろうけど いいのよそれでも的な自己満足型作品がほとんどだった。 (もちろん私もそういう香港映画をこよなく愛する1人なのだが) しかし、この「インファナル・アフェア」についてはその完成度の高さに舌を巻くばかり。 観終わってまず感心するのは 「これだけの中身の濃さで上映時間は102分というコンパクトさ」 ということだ。 見事なまでに無駄なシーンをそぎ落としてギリギリのエピソードで観客を惹きつける。 中だるみなど微塵も感じる余裕なく心地良い緊張感がラストシーンまで続くのだ。 俳優の層が厚い、とは言い切れない香港映画界。 本作に出演する俳優陣もおなじみの顔ぶれだ。 そのおなじみの顔ぶれがそれぞれ泣きたくなるほど最高の演技を観せてくれる。 香港マフィアのボス、サムにはある意味意表をつくキャスティングの エリック・ツァン(曾志偉)と飴とムチを巧みに使い分ける骨太なウォン警視役の アンソニー・ウォン(黄秋生)。 敵対する2人の間にはお互いをけん制しつつも尊重しあうある種不思議な空気感が漂う。 ヤンの弟分キョン(チャップマン・トゥ:杜汶澤)も緊張感張り詰めるこの物語の中にあって 唯一ホッと気を緩ませてくれる役どころだ。 彼は兄貴分のヤンが潜入刑事であることを知っていたのだろうか。 そう、この作品の素晴らしさの1つは「説明しすぎない」ということ。 真実へのきっかけを実にサラリと見せてくれる。 そして主演の2人。 アンディ・ラウ(劉徳華)演じるラウのストイックさに思わず背筋が寒くなる。 それと同時に悲しくなる。 立派な刑事を演じながらいつの日かそれが本当の自分となることを望んでいるのだ。 そしてトニー・レオン(梁朝偉)演じるヤンの長い潜入任務への苛立ちと悲しみ。 上司や同僚に不幸が降りかかっても任務のため悲しみを押し殺さねばならない辛さ。 いつもひっそりともの陰から1人敬礼で見送るしかない。 それでも彼は潜入の任務を続ける。 ヤンが精神科医のリー(ケリー・チャン:陳慧琳)に冗談まじりに打ち明ける。 「実は俺は刑事なんだ」。 するとリーが「実は私もよ」。 ヤンの複雑な表情が印象的なシーン。 中国国内ではラストを変えて公開したというこの物語の結末、 「生きながらえて自分の犯した罪に苦しむことこそが地獄」。 うなりたくなるほど恐ろしく、そして素晴らしい物語の結末だ。 2002年 香港映画
by sabunori
| 2007-03-29 16:05
| MOVIE
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Comments(12)
Tracked
from パフィンの生態
at 2007-03-29 22:22
タイトル : インファナル・アフェア(無間道)
アンドリュー・ラウ、アラン・マック監督、2002年香港。 マフィアと警察それぞれに送り込まれた潜入者の知的な対決、 正体が見破られるのではという不安、憎しみ、葛藤などを 見事に描いた香港映画。マーティン・スコセッシ監督 「ディパーテッド」のオリジナル。 2003年秋に日本で公開された時、熱がある状態だったせいか 細部を見落としていたのが、今日わかった!!郊外のシネコンで 1週間だけ上映していたのを観たの~{/hiyos/} マフィアのボス、サム(エリック・ツァン)は警察の摘発から 身を守るため、新...... more
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from CHEAP THRILL
at 2007-04-06 22:07
タイトル : 真・映画日記『インファナル・アフェア』
1月15日(月) 日中はごく普通。 日記の更新が朝できなかっただけか。 午後6時半に終業。 新橋駅近くのマンガ喫茶「マンボー」で日記を更新。 7時半に店を出る。 JR山手線で新宿に移動。 8時から歌舞伎町のコマ劇場近くの喫茶店「ルノアール」にて フリーペーパー「CHEAP THRILL」の打ち合わせ。 魅惑のクニオ氏、宮沢純さん、KOYUKIさんと それまでの現状とリニューアル、そして今後の方向について話し合う。 とりあえずこれで全力でやり、 2月上旬に...... more
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from Makan Makan 日記
at 2008-01-31 00:26
タイトル : インファナル・アフェアⅠ・Ⅱ・Ⅲ
3夜連続でBSで放送。 もちろん、全部見てしまった。 改めて何回見ても秀逸な映画だと思う。 そして、見るたびに思う無間地獄の恐ろしさ。 今まで“むげんじごく”と読むとばかり思ってた。 本当は“むけんじごく”と読むのだそうだ。 今までインファナルアフェアのⅠのヤンとラウのせめぎあいや苦悩ばかりに目がいってた。 今回改めて3作全部通しで見て思ったのは、Ⅲのストーリーの優秀さ。 Ⅰはもちろん面白いのは当然。ラストのほうのラウを襲う無間地獄の始まり。 単純に悪いことはできないよね...... more
Tracked
from 犬儒学派的牧歌
at 2008-09-08 22:01
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acine at 2007-03-29 17:06
sabunoriさん うーんお見事! sabunoriさんのこのエントリ本当に
IAの世界をそのまんま表現されてます。 ほんとに、無駄をそぎ落として、かつ心に染み入る、見てるこっちもハラハラ 、もうドーンと落ち込んだり、見終わった後の虚無感・・・素晴らしすぎ。某映画なんて無駄だらけ、ホント必要なシーンなんか何もなかったんじゃないか・・・と思うほど。 正直、この映画が公開される前2,3年は少し香港映画熱も冷めてたんですが、 この映画と”英雄”(どっちもトニー絡みだわ・笑)で、すっかり香港映画 LOVE!に引き戻されました。 実は、私この映画も、10回くらい劇場で見たんですよ(笑)。 でも、何度見てもあのタクシーのシーンにはドキドキしましたよ。 当分、お休みしますが、また遊びにこさせてもらいますね!
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ichiko1515jp at 2007-03-29 17:38
あっ行ってこられたんですね!!
私は平日がちょっと都合がつかなさそうだったので、 24日の土曜日に「ビリケン」観て来ましたよ~(^^) やっぱここはこれかなーっと。 「大阪物語」と迷ったんですけどね~ 思ったよりお客さんが少なくて、ひとりひとりくまなく見渡せる感じだったので「ひょっとしてあの人がsabunoriさんでは?!」なんてドキドキしてました。 しかし閉館キャンペーンでさえ(だから?)閑古鳥とは 少し哀しかったです・・・
sabunoriさん、TBありがとうございました♪
お写真を拝見して思うのは、やっぱりアンドリュー・ラウ監督は撮影監督でもあるのが強みだということです。「月夜の願い」「今すぐ抱きしめて」の撮影、自らの「風雲」「決戦・紫禁城」などの娯楽作品も好きですわ~。
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sabunori at 2007-03-30 00:10
acineさん、いらっしゃーい!
し、知らなかった・・・劇場で10回観たとは・・・! 負けた・・・というか勝負にもならないわ。(笑) 考えたらもう5年前の映画ですよね。 でも全然古くならない。 オスカーの時に「オリジナルは日本映画で・・・」と紹介されて香港人が かなり怒りまくった、というのは当然です。 香港の友人も言っていたのですが、この映画はある意味香港映画を変えた 作品ですものね。 観終えて中身の濃さにフラフラしながら時計を見たらたかだか100分ほどの 作品だったとわかって本当にビックリしました。 本当に必要最小限のエピソードでグイグイ引っ張っていく作品。 今回はキョンがウォン警視のことを「あいつはすごいよ・・・」と語るシーンが 印象的でした。 あのウォンのタクシーへの・・・シーン、泣けますよねぇ。 これからもお時間あるときにぜひコメントくださいね。 そしてブログ再開、楽しみにしています♪
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sabunori at 2007-03-30 00:14
おぉ!ichikoちゃんは「ビリケン」を鑑賞したんですね。
私は土曜日が都合悪くなってしまって結局行けずじまいでした。 うぅ、ichikoちゃんに会えるチャンスだったとは。 私の観た「インファナル・アフェア」は昼1番の回でしたが客の入りは 6-7割といったところでしょうか。 思っていたより入っていましたよ。 ところで抽選のポスター当たった? 私はなんと当たって「ベルベット・レイン」をいただいちゃいました~。 これで今年の運は使い切ったかも。
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sabunori at 2007-03-30 00:22
パフィンさん、こんばんは。
確かにこうやって改めて見てみると1シーン1シーンが美しいですね。 「今すぐ抱きしめたい」も彼の撮影でしたか。 ブルーグリーンな映像と旺角、マカオの街が印象的で好きな作品です♪ 「頭文字D」もアンドリュー・ラウ監督でしたね。 やっぱり映像はスピード感があって美しかったのを思い出しました。 「風雲」・・・大好き♡
sabunoriさん、こんにちは!
私はやっぱり春休みで忙しくてシネフェスタに行けそうもありませーん。 先日NHKで「今村昌平に捧ぐ」とかいう番組があって その中でスコセッシ監督がインタビューに答えてたのですが 「‘ディパーテッド’は今村昌平の‘復讐するは我にあり’を目指した」 と言っていたのでたまげました。 ラストのネズミも今村作品のパクリだったようです。 ・・・というわけでスコセッシさんには「リメイク」という意識は まったく無かったと思われ・・・。 それってかなりオリジナルに失礼な製作態度だなーとムカつきましたが オリジナルの世界観が全く無視されていたことに関して ずっとギモンを抱いていたのでなんとなくスッキリもしたりして・・・。 やっぱあれはリメイクではなかったんだなー。 「インファナル~」ホント、内容が濃いですよね。また見ようっと。
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sabunori at 2007-03-30 21:50
あさこさーん、毎日お疲れさまです!
世の中春休みですものね~仕方ないですよね。 ところで、ほぉ・・・そんな番組をやっていたんですか。 実は私は「復讐するは我にあり」を観ていないので「あ、なるほど」とは 思えないのですが、それを聞くと合点がいくのかしら?? 今回の「ディパーテッド」についてはあれをリメイクというのならよっぽど 頭が悪くて理解できないのか、それともとりあえずうわべの観客が食いつきそうな 設定だけを大金出して欲しかったのかどちらなのかは気になりますけど 「リメイクじゃない」と言うならそれはもうそれでいいや〜っていう感じですねぇ。 あさこさんも「インファナル~」久しぶりに観てくださいまし。 私はこの後2,3をDVDで続けて観る予定ですよ♪
ああー ニアミス!私は迷った末に「さくらん」見ました・・・
「インファナル」を見ればよかったカモ。 シネフェスタで見たのよねー この映画。 ええっ 100分ほどしかないんですか・・・つくづく よく出来た映画だと思います。 シネフェスタ、今日で閉館、寂しいです。
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sabunori at 2007-03-31 22:42
kinoさん、ニアミス!?
「さくらん」はいまひとつでしたか?もしや。 「もしここにkinoさんがいたら絶対わかる自信あるかも〜」と思いながら 「インファナル・アフェア」の会場で何気なくキョロキョロして挙動不審だった オンナは私です。(笑) 今日、ラストは「スタンド・バイ・ミー」でしめて参りました。
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manggisk at 2008-02-01 23:49
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sabunori at 2008-02-03 00:08
manggiskさん、こんばんは。
そうなんですよねー。 未観のヒトがいると「とにかく黙って観て」と言いたくなってしまう作品です。 ただ1つの欠点は主役の2人の名前が香港映画に馴染みがない方だと わかりづらいかなぁ・・・というコトくらいでしょうか。
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