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私の通勤時間は多めに見積もっても徒歩6~7分といったところだ。 帰りにスーパーに寄ろうと思うと妙に遠回りになるのが辛くて、 なるべくスーパーに立ち寄る回数を少なく抑えてまっすぐ帰宅する。 17時までの仕事なので17時10分にはテレビを見たりしているわけだ。 しかし、そんな短い通勤時間の間でもちょっとしたドラマがあったりするから不思議だ。 先日。 その日はスーパーに寄ったのですこしだけ遠回りをして家まであともう少し、 というところで見覚えのある顔に出会った。 向こうもこちらをジ〜ッと見つめている。 「あ〜っ!」 「久しぶり〜!元気だったぁ?」 6~7年ほど前に派遣で働いていた会社の社員の女性だった。 聞けば我が家を通り越してもっと先にある会社で働いているという。 そういえば会社をやめたというハナシはどこからか私の耳にも届いていたが まさか我が家のご近所で働いているとは・・・。 彼女にしても最寄駅がここだというのは知っていても私の家がこの近所だとはつゆ知らず お互いに「え〜」「そうなんだ〜」状態。(笑) そういえばあの頃彼女は言っていた。 もう少ししたら両親が故郷の九州に戻るから、そうしたら自分もついて行く、と。 あの頃私たち外野は「何も一緒に行かなくてもこっちに残ればいいじゃない」などと おせっかいにも助言したりしていたのだ。 でも今もこうして彼女がここにいるということはご両親だけが故郷に戻られたのかしら。 そう思って彼女に聞いてみた。 「ご両親はお元気?もしかして九州に帰られたの?」 すると彼女の口から出たのは思いがけない言葉だった。 「2人とも亡くなったのよ。」 お父様が亡くなって後を追うようにお母様も亡くなってしまったという。 少し沈んだ表情の私を気遣い、その場の空気を変えようと今度は彼女が私に言う。 「あの大きな白いワンちゃん元気?」 「亡くなったのよ。もう2~3年になるかな」 今度は彼女が少し沈んだ表情になってしまった。 たかが6~7年。 されど6~7年。 もちろんご両親の死と我が家の犬の死を同列に並べるのは失礼だとは思うが お互いになんだかいろいろだねぇ、なんて言い合ったりして。 そういえば彼女の自宅はかなりの豪邸だったと思い出す。 「ね、ね、もしかしてあの豪邸に今は1人暮らし?」と聞くと 「そうなのよ〜。庭の草むしりが大変で。」だって。(笑) それでもご両親の思い出があるから売るつもりはないのだろう。 「おまけにね、先に父親が亡くなって淋しいだろうからと思って 母親に柴犬をプレゼントしたのよ。 おかげで今は犬も私が面倒みてるのよ〜」 「え、え〜っ!それじゃこんなところで道草食ってないで早く帰ってあげなよ。 散歩を首を長くして待ってるよー!」 そうだね、と彼女が言ってそれじゃ、と別れ間際に私が 「早く誰かつかまえて一緒に豪邸に住んでもらいなさいよ!」と言うと 「私ね、もうすぐ結婚するかもしれない」 そう言って照れくさそうに彼女は微笑んだ。
by sabunori
| 2008-06-12 19:09
| DAYS
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Comments(8)
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ichiko1515jp at 2008-06-12 22:15
わ~
なんか涙出ちゃいそうなドラマみたいなお話だな~ その女性ご両親に花嫁姿みてもらいたかっただろうな。 きっと天国からしっかと見てますよね!! シアワセになって欲しい!!
0
最後の せりふ で救われました。
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sabunori at 2008-06-12 22:59
ichikoちゃん、久しぶりに会った彼女は以前より痩せてなんだか
綺麗になったなぁ・・・と思ったら、そういうことらしいです。 ichikoちゃんのおっしゃる通り、ご両親は天国から喜んでくれていますよね。 ワンコの世話のこともね。
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sabunori at 2008-06-12 23:04
tottoさん、今まで一緒に暮らしていた家族がいなくなってしまうなんて
辛いですよね。 ご両親はそんな彼女のためにワンコと、そして未来のダンナさんを 彼女のもとに送りこんでくれたのかもしれません。 本当に彼女には幸せになってほしいわ。
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sainsburys_UK at 2008-06-13 12:22
ジーンとしちゃいました。なんか、彼女もうすぐ結婚でよかったね。
うん、よかった。よかったしか言葉が出てこないー。(笑)
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sabunori at 2008-06-14 21:03
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kohakuza at 2008-06-15 01:17
sabunoriさん、こんばんは♪
6〜7年ってホント長いようで短いようでですね。 でも偶然再開出来るなんて、何かご縁があるんでしょうね お母さんにプレゼントしたワンコが、 結果的にはご両親が残してくれた肉親なんだろうなー。 色んな事があっても、彼女が幸せになってくれて よかったなー。 怖い事件ばかりの今日この頃ですが、ホッとしました。
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sabunori at 2008-06-15 23:15
こはくさん、こんばんは★
子供の頃の1年はものすごく長かったけど、これだけ長く生きていると 1年はドンドン短くなっていきますよね。 それにしてもやっぱりいろいろなコトが起こるわけで。 ほんの10分ほどの立ち話でしたが、あの日あの道を歩いてよかったわ〜。 今までも彼女とはニアミスしていたんですよね。 そんなことがあるから、たまにいつもは曲がらない道をまがってみたり したくなる私です。 >お母さんにプレゼントしたワンコが、結果的にはご両親が残してくれた肉親 本当にその通りですね!
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