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香港の真裏アルゼンチン。 オンボロ車でイグアスの滝を目指したカップル、ファイ(トニー・レオン:梁朝偉)と ウィン(レスリー・チェン:張國榮)は道に迷いケンカ別れ。 その後ファイは香港への帰国費用を貯めるためにタンゴ・バーのドアマンとして働く。 そんなある日新たな恋人との関係を終えたウィンは再びファイの前へと現れる・・・。 なんかねぇ・・・ レスリーが演じるウィンの身勝手な女っぽさ(!)にクスリと笑ってしまうのよねぇ。 風邪で熱を出しているファイに向かって「お腹すいた」と料理を作らせたり、(鬼じゃ) 嫉妬深くて(自分のことは思い切り棚の奥)ヒステリックにキィ〜ッと怒り出したり。 おまけに働きもしない居候のくせに自分はベッドに寝て、 家の主のファイはソファーに寝かせて・・・。 だけど結局はそんなウィンの全てをファイは愛しいんだろうなぁ。 観ているこちらは笑っちゃうような不毛な怒鳴りあいのケンカのやりとりさえも ファイにとっては「幸せな時間」だったのかな。 ウィンにしてもひとところにじっとしていられなくて次から次へと恋人を渡り歩くのだけれど 最終的には「帰る場所=ファイ」がいるとわかっているからどこか安心している。 「やり直そう」と言えばきっと次もファイは受け入れてくれる、と。 チャン(チャン・チェン:張震)。 昔ほとんど目が見えなかったというチャンは表情ではなく声で人を見る。 この後南米最南端へ行ってそこでファイの悲しみを捨ててきてあげるからと メッセージの録音を促す。 そこで悲しみを捨てればきっと幸せになれるんだと言う。 チャンは若いけれど、どこかドッシリとした包容力のある男の子。 そんな彼との出会いがファイにとって新たな道への第一歩を踏み出すきっかけとなった。 例によって(笑)撮影の遅れからレスリーが抜けた穴埋めに急遽王家衛監督から 声がかかったチャン・チェンが兵役入隊直前にこの作品に参加することになったという。 まだ少年っぽさが残るひょろりと背の高い彼を私はこの作品で初めて知った。 撮影はもちろんクリストファー・ドイル。 前半のモノクロから次第にカラーへと変わっていく映像の美しさはいつもながら流石だ。 アルゼンチンの真逆の香港の風景を逆さに映し出す映像が印象的。 電話をすればすぐに繋がるけれど、父親はファイを許してくれていない・・・ 帰りたいけど遠い故郷。 ファイが香港へ帰国する直前、フラリと立ち寄った台湾の屋台で偶然出会った チャンの家族。 屋台に飾られていたチャンの写真を1枚そっと失敬してファイは思う。 「会いたいと強く思えばきっと会えるはずだから」と。 人が人生をやり直すことは簡単ではないかもしれないけど、実はそう難しくもないのだ。 1997年香港映画(シネ・ヌーヴォ「レスリー映画祭」にて鑑賞)
by sabunori
| 2008-10-19 11:15
| MOVIE
|
Trackback(1)
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Comments(10)
Tracked
from 虎猫の気まぐれシネマ日記
at 2008-10-20 23:21
タイトル : ブエノスアイレス
トニー・レオンと レスリー・チャンが祖国香港のちょうど裏側の,南米の街ブエノスアイレスで紡ぐ 愛と喪失の物語。と書くと聞こえはいいが,ひとことで言うと,これはゲイのカップルの 痴話喧嘩と腐れ縁のお話(と書くと これまた恐ろしくミもフタもないが・・・。)しかし,公開当時,多くの人を衝撃とともに圧倒的に... more
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manggisk at 2008-10-19 23:14
ブエノスアイレス、今までに3回ほどビデオやDVD鑑賞にチャレンジしましたが、なぜか3回とも中盤に行く前に爆睡。最後まで見たためしがありません。
これはもう映画との相性が悪いんだと思って、その後は見てませんが、 sabnoriさんのこの記事のおかげでやっとストーリーがわかりました。 もう一回チャレンジしてみようかしら。
0
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miaomi
at 2008-10-20 11:07
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当時、とにかく感動したのを覚えています。男女の恋愛と同じ目線で違和感なく見ていました。レスリーが羨ましいほどとにかく色っぽかった。その当時はドイルさんもご近所さんで、私の中ではアイドル!だった。とっても懐かしいですわ。こちらを読んで、また見てみたくなりました。
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acine at 2008-10-20 23:00
まずはこっちで引っかかってしまいました(笑)。
私もこの映画、王家衛で1,2を争うくらい大好き! これが表一番としたら裏一番は”楽園の瑕”なのです~。 sabunoriさんの記事と写真を見ただけで、むしょうに見たくなってきました。 この映画、一言で言うと、ゲイの痴話ゲンカなんだけど、ここまで魅力的な 痴話ゲンカ映画はないだろう・・・!今後も出てこないだろう・・・とさえ 思います。もう男と女とか、男と男とか、女と女とか、全て超越してますね。 映像やストーリーとピッタリなこの映画のサントラも私は大好きです。 いまだに時々聞いてますよ~。今思えば、二度とありえない夢のような コラボですね・・・。 この映画ではレスリーはあんなに元気なのに・・・。
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なな
at 2008-10-20 23:18
x
こんばんは!
「欲望の翼」のレスリーが魔性の男なら,この 「ブエノ」のレスリーは魔性の女ですよね~・・・どちらも大好き! そしてトニーの困惑顔がこれまたたまりませんでした。 これの特典映像版「ブエノスアイレス摂氏零度」も持ってますが その中でトニーとレスリーのタンゴの練習シーンがまたいいのよ~ レスリーのわがままぶりは,腹も立つけど可愛くて・・・ あの風邪でダウンしているトニーにご飯作らせたり ご飯のときは「トリ肉おくれよ」とねだるところ。 これのサントラも持ってますが,曲の合間にレスリーの肉声で 「ファイ,やりなおそう」というセリフが入ってるんですが そのちょっとハスキーなレスリーの声が,またたまりません。 TBさせていただきますね。
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sabunori at 2008-10-20 23:25
manggiskさん、わかりますー。
私にとっては多分「劇場で鑑賞する」というのがポイントなんだと思います。 どの映画であれ家で鑑賞するとほぼ間違いなく途中で居眠りしますので。(笑) そんなワケで「覇王別姫」を現在DVD鑑賞中ですが途中何度停止していることか。 いつまでたっても最後までたどりつけません・・・。(笑) manggiskさん、もしや「ブエノスアイレス」はチャン・チェンが出てくるところまで いっていないのでは・・・?? 体力のある時にでも再チャレンジしてくださいまし!
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sabunori at 2008-10-20 23:30
miaomiさんもやっぱりこの作品はお気に入りですよね!
これは王家衛作品には珍しくエンディングが希望に満ちていていいなーと 思っています。 この作品のレスリーはとっても魅力的でしたね。 角刈り風のトニーさんもいいけど。(笑) 久しぶりに鑑賞、いかがですか?
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sabunori at 2008-10-21 00:00
acineさんの王家衛ベスト1,2を争う作品でしたかー。
私も好きな作品です。 なんたって明るいエンディングがいいですよね。 確かに内容はほぼカップルの痴話ゲンカですね。(笑) 以前観た中国映画「我愛你」は新婚夫婦の果てしない痴話ゲンカの物語で、 観ながらもうウンザリしてしまい「何が悲しくてこんな夫婦の痴話ゲンカを 延々観ていなければいけないのか」と怒りがこみ上げてきたのですが、 不思議と本作はそれがないんですよね。 何が違うんだろう・・・?? 監督の力か、はたまた役者の魅力か。両方かな。 逆に微笑ましく感じてしまうというのがスゴイなぁと思いつつ観入ってしまいました。
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sabunori at 2008-10-21 00:09
ななさん、こんばんは★
TBありがとうございます! 私も実は「摂氏零度」持っているんですよー。いまだ未鑑賞ですが・・・。 近々観てみたいと思います。 そうそう、ご飯を作らせた上に「トリ肉おくれよー」って言ってた言ってた!(笑) ウィンはどんなにフラフラしてもファイが絶対に許してくれると思っていたのかしら。 去ってしまったファイの部屋で毛布を抱えて泣き崩れるウィンも切なかったですね。 そして十八番の困り顔したトニーさん。(笑)
sabunoriさん、こんにちは。シネ・ヌーヴォでレスリー映画祭開催中だったんですね。
ガーーン!! ノーチェックでした・・・。劇場で観られるチャンスだったのに・・。 この映画、版権の関係かDVDがなかなか再発売されませんよね。 「メシ作ってよ」「寝込んでんのにお前は酷い奴だ!」の会話の後、ファイが台所に立っている場面ではいつも吹き出してしまいます。 チャン・チェンくん、兵役前の出演だったんですね。今やすっかり大人のいい男ですが。 私もまた観たくなりました! ではでは~。
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sabunori at 2008-10-23 22:39
真紅さん、こんばんは★
そうですよ~シネ・ヌーヴォでやっていたんです。 私は結局この作品しか観ることができませんでした。 他の3作も本当は観たかったのですけどね。 多分来年もやると思いますよ。作品の入れ替えはあるかもしれませんが。 そのときには真紅さんも是非! 久しぶりにこの作品を観たらチャン・チェンの若さ(って今も若いですけどね)に クラクラしました。(笑)
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