もしかして吉田恵輔監督の個人的な思い入れがある作品なのだろうか。
とりあえず「いいハナシ」なのだ。
でも毒のないただのいいハナシに興味はない。
失ってからわかる子を思う母の気持ちやら
自分が知らなかった母の若かりし頃の青春やら・・・
だけどそういったものについて改めて語りたいとも思わないし
鑑賞を終えて特別に心に残るエピソードもほとんどない。
唯一麦子の兄のキャラクターと彼を演じた松田龍平が印象的だった。
自分たちを捨てて出ていった母親がひょっこり姿を現すとばばあ呼ばわりし、
今更一緒に住めるわけないだろうと母親を追い返す。
その言動は十分に理解できるのだが、実は彼は長年母親から
毎月相当額の仕送りを受け取っていたのだ。
それを妹の麦子には一切告げず「自分が贅沢もせずお前を養ってきてやった」と
恩を着せていたのだから始末が悪い。(笑)
おまけに母親が一緒に暮らすことになると恋人と同棲を始めるため
さっさと家を出ていってしまう。
そんな彼があっけなく病で逝ってしまった母親を前に
憎まれ口を叩きながらも思わず声をあげて泣いてしまう姿は
どこか憎み切れず、愛しさすら感じてしまった。
「麦子さんと」というタイトルについてずっと考えている。
「麦子さんと」の後に一体どんな言葉が続くのだろう。
いくら考えても私にはわからないのだ・・・。
麦子さんと オフィシャルサイト