絶対に面白いんだろうなぁと思いながらなぜか1冊も読んだことがない
伊坂幸太郎作品が原作。
主人公鈴木(生田斗真)とその恋人百合子(波瑠)以外の登場人物は
全員闇の世界に生きる人間だ。
そんな中、殺し屋鯨(浅野忠信)が自分が自殺に追い込み殺した人々の霊に
付きまとわれ罪の意識から逃れられずもがく姿に完全に失われてはいない
彼の人間臭さを感じる。
その一方で彼とは正反対にその生い立ちから何もかもが存在しない、
その日だけを生きているかのような若い殺し屋蝉を思いのほか
山田涼介が好演。
しじみのエピソードは少々シャラ臭さも感じたけど。
そして語らずにはいられない菜々緒の存在。
裏社会のヤンキーセレブ(とオフィシャルサイトに記載されている)の彼女は
怒りに任せて鈴木を殴りつけて「いてーっ!」
ヒールでこけて「いてーっ!」
お高い服を汚されて「いくらしたと思っているのよぉ!」で相手を殺害。
笑うしかない。
そして少し悲しくもなる。
彼女は・・・ずっとこの路線でいいの??
長く濃い事件の2日間から1年後。
すみれ(麻生久美子)が鈴木に真相を明かすエピソードは蛇足。
全てが観客の頭の中では「きっとそうだったんだな・・・」と想像出来る
範囲内だったし、それで良かった気がする。
冷凍保存した食べ物はタイムカプセル。
確かに百合子さんの言う通りなんだけど。
1年以上も冷凍庫に保存されたスープを飲んだ鈴木くん。
翌日彼がお腹を壊しませんように・・・。
そう祈りつつ劇場を後にした私でありました。
グラスホッパー オフィシャルサイト