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主人公は90歳で認知症を患うゼブ(クリストファー・プラマー)。 彼と体の自由がきかなくなった友人のマックス(マーティン・ランドー)は かつてナチスに家族を殺されたアウシュビッツ収容所の生存者。 記憶を保つことが出来なくなったゼブはマックスに渡された過去の記憶と やるべきこと記した手紙を頼りに今も生存する自分たちの家族を殺した ナチス兵士への復讐の旅に出る・・・。 もしかしたら私が観た映画の中で最も高齢の主人公を描いた作品かもしれない。 90歳にして旅立つゼブの行く先で彼を待ち構えている出来事たち。 「復讐」そのもの以前に「老いる」とはこういうことなのだ、という いくつもの真実を目の前に突き付けられる。 ホテルでチェックイン後説明を聞いても部屋への行き方が覚えられず うろたえるゼブの姿はこれから老いへと向かっていく自分の未来の姿と 重なって辛かった。 老いていくにあたり私が今一番恐れていることは認知症の発症。 しかしもしかしたら「忘れていくこと」で自分自身が救われるということも あるのかもしれない。 初めて訪れて来たどこの誰ともわからないゼブをなんのためらいもなく 家の中に招き入れる人々。 そのオープンな対応の裏には何かあれば銃を使って相手を・・・という 気持ちが根付いているのだろうか。 銃を購入するゼブの姿を見ながら、一応の書類提示は行うものの この老人に銃を持たせることの危険性というのは全く考えないのか、 という思いが沸き起こる。 権利が最優先されるということか。 やはり私が銃社会である国を理解することは永遠にない気がする。 すべての謎が解き明かされるとき、あなたの見ていた世界は一転する」 この宣伝文句がなければ本作に対する私の評価は更に跳ね上がったに違いない。 これのせいでラストの展開を予想しての鑑賞となってしまった。 配給会社さん(でいいのか?)、お願いだからこの手の宣伝文句はヤメテ! 私のようなひねくれ者はあれやこれやと邪推してしまって本来の作品の面白さを 味わうことができないのよ・・・。 しかしながら。 それを差し引いても観ごたえある上質のサスペンス作品であることは事実。 手紙は憶えている オフィシャルサイト カナダ・ドイツ合作
by sabunori
| 2016-11-02 19:36
| MOVIE
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Trackback(4)
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Comments(4)
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from 風情☭の不安..
at 2016-11-07 22:47
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from ここなつ映画レビュー
at 2016-11-28 13:21
タイトル : 「手紙は憶えている」
監督アトム・エゴヤンという人物は…。いや、私ごときが大上段に構えて「論」をぶつつもりはさらさらないのだけれど、アトム・エゴヤンという人物は、本当に凄い。ホロコースト(ユダヤであれアルメニアであれ)の被虐者の心理を描くのが、凄まじく巧みだ。この作品はネタバレしては絶対にいけない作品なので、詳細は省くが、判ったことは…。被虐者の怨念は永遠に残り、怨讐は留まる事を知らないという事だけは憶えておいた方がいい、ということだ。とはいえ、どういう展開だか少しだけ触れると、とある介護療養施設に入所している年老いた男...... more
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from 勝手に映画評
at 2016-11-28 22:20
タイトル : 手紙は憶えている / Remember
妻が死んだことを覚えていないほど認知症の進んだアウシュビッツ収容所の生き残りが、友人から託された手紙を手がかりに、アウシュビッツ収容所で家族を殺したナチス兵士を探す物語。 重度の認知症で、友人の書いてくれた手紙だけが全てと言う過酷な状態で、よくゼブは任...... more
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from 日々 是 変化ナリ ~ ..
at 2016-11-29 00:57
タイトル : 映画:手紙は憶えている Remember 緻密に組み上げ..
アトム・エゴヤン新作。 彼といえば、カンヌでグランプリを獲得したスウィート ヒアアフター が有名。 多くの子供を巻き込んだ悲惨な事件後に生きる人々の苦悩と癒し、が響く作品だった。 そして、こちらも悲惨な事件、が物語に大きく関係している。 ただしその事件のスケールは比較にならないほど、巨大。 主人公は第二次世界大戦中、アウシュビッツで家族を殺されたユダヤ人なのだ! その主人公はすでに90歳...... more
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風情☭
at 2016-11-07 22:46
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こんにちは♪
>「ラスト5分の衝撃~」云々 そんなキャッチコピーあったんすか? ただ単にストーリーだけで選んだところが「大」な んで、その辺はまったくノーチェックでしたわ。 オチの半分以上は予想はついてたんですが、核のと ころが見破れなかったんすよね。 キャッチを見てなかったから衝撃が大きくあったの かなぁですが、おそらく今回は見たところで見破り きることはできなかったかなぁといったところです♪ (゚▽゚)v にしてもホント最近の配給会社のキャッチコピーの 付け方って、頭がアレなのか? ズレてても客を呼べ ればイイなのか?ですがズレたり、核心突きすぎだ ったが多すぎですよね。
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sabunori at 2016-11-10 05:53
風情♪さん、こんにちは。
私も普段はちょこっとストーリーや出演俳優を確認するのみで 劇場へ足を運ぶのですが、今回はオフィシャルサイトを 見てしまったのですよ。そしたらド~ン!と・・・。 確かにそれを差し引いても良質のサスペンス作品だったので かなり私の中での評価も高いのですが。 今年の私のベスト10入り確定な予感・・・。 そういえばこの作品、鑑賞後にアンケートの協力を求められ ました。 劇場でこういうシーンにあうことがめずらしかったので 印象的でした。
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kogarinta at 2016-11-28 13:18
こんにちは。
私は幸いなことに、ラストの煽り文句を知らずに鑑賞したので、かなりかなり衝撃を感じた鑑賞となりました。 それにしても…確かに日本でも高齢者の運転免許が問題となっているのに、銃を与えてしまうアメリカって一体…。
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sabunori at 2016-12-01 20:47
ここなつさん、こんにちは。
衝撃的な結末でしたよね。 あんなキャッチコピーさえ知らなければ更に素晴らしい 作品になったのにと思うと少々残念でした。 しかしそれでも観ごたえある作品だったことは事実。 90歳の主人公ってスゴイですよねぇ。
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