1940年、第二次世界大戦下のロンドンを舞台に
政府からの制約を受けながらも映画作りに賭ける人々の姿を
描いた作品。
元コピーライターの助手で脚本製作は未経験でありながら
脚本作りに抜擢されてしまう主人公カトリン(ジェマ・アータートン)の
慎ましやかだが知的で凛とした美しさが印象的。
彼女がリズミカルにカチャカチャとタイプライターのキーを叩き続け
脚本を仕上げていく姿は観ていて心が弾む。
ビル・ナイ演じるベテラン俳優ヒリアードもまたチャーミング。
カトリンたちが脚本を担当する新作への出演の依頼があると
若いヒーロー役のオファーだと勝手に思いこみ、実は主人公の叔父だと知り
あからさまに憤慨してしまう。
自分の実年齢を受け入れられない永遠の青年・・・
彼を見ているとどこか身につまされてしまう一般人の私だが
これが俳優という商売である彼ゆえ、その思いこみは一層強いものであるに
違いない。
「36歳の役じゃなく63歳の役も悪くはないさ」
そんな言葉でヒリアードを優しく諭す長年の友人兼エージェントのサミー
(エディ・マーサン)の存在は大きい。
しかしそのサミーもドイツの空爆により突然ヒリアードの前から姿を消す。
「自分たちが今こうして映画作りをしていられるのは体を張って
国のために戦ってくれている若者たちのおかげ」
と感謝の気持ちを言葉にするヒリアードのセリフはスタッフが一丸となり
そんな彼らや英国の人々に勇気と希望を与えられる作品にしたいという
気持ちを代弁しているかのようだった。
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