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それは愛なのか同情なのか 天国なのか地獄なのか 死を目前にした男と5分間だけ死んだことのある女 余命わずかでありながらいくどとなく自殺を図る死刑囚チャン(チャン・チェン:張震)。 一方浮気が発覚しても悪びれる様子もない夫(ハ・ジョンウ)から心が離れていく ヨン(チア)。 ある日ヨンはニュースで知ったチャンの存在に興味をひかれ、面会を申し出る。 塀の中、季節を感じられないチャンのために面会のたびに四季折々の演出をするヨン。 次第に2人はお互いになくてはならない存在になっていく・・・。 ヨンを演じたチアという女優は舞台出身だそうだ。 おそらく演技派女優なのだろう。 しかし、幼稚なことを言って申し訳ないのだが、いかんせん顔が好きになれない。 「世界の果てまで行ってQ!」に出演する珍獣ハンターのイモト嬢に見えるのだ。 ヨンは自宅では常に暗い表情で人とも接さずにひたすら土をこねている。 これじゃ夫も浮気の1つもしたくなるってもんだろう・・・などと考えてしまう。 いや、夫が浮気をしたからこんなに暗い女になってしまったのか? そのヨンがチャンとの面会ではタガが外れたかの如く恐ろしいほどのテンションの高さ。 あの面会シーンは・・・爆笑していいのか真剣に見つめるべきなのか本当に戸惑った。 この監督の作品は時としてこういう身の置き場に困るシーンがある。のは私だけか? 死刑囚と面会者の物語というと同じ韓国映画「私たちの幸せな時間」がある。 比べるものでもないだろうが、あちらのお粗末な泣け泣け作品に比べると この「ブレス」は数段力強さを感じられる作品だ。 ただし私が惹かれたのはチャンとヨンの愛の物語でも、そしてヨンと家族の物語でもなく チャンと同じ部屋の若い囚人の愛の物語だった。 刑務所の4人部屋。 ただただ息(ブレス)をして過ごす部屋。 何もない部屋だからこそ4人の囚人たちの関係が、1つ1つの行動が、 ひどくシンプルにそしてストレートに描かれている。 特に若い囚人とチャンのあやふやな関係。 次第にヨンに惹かれていくチャンを嫉妬心丸出しで阻止しようとする若い囚人。 大事に手にしていたヨンの髪の毛を若い囚人に取り上げられた時の チャンの慌てようとその後の行動は・・・笑った。幼い子供みたいなあまりの愛らしさに。 チャンの死刑が執行されるまでの残り時間を若い囚人たちは知っていたのだろうか。 そしてチャン自身も。 ラスト近く窓の外を必死に覗こうとしている若い囚人をひょい、と肩車するチャン。 この作品で一番印象に残るワンシーン。 チャン・チェンは自分で喉を傷つけてほとんど声を発するシーンはない。 それにもかかわらず堂々たる存在感。素晴らしい。 ところであの刑務所の館長は一体なんだったのだろう。 キム・ギドク監督自身なのか? なぜヨンの面会の申し入れを受け入れたのか? あれほどまでに2人の面会に寛大だったのか? (だって面会室であんなラブシーン・・・ありえね〜!) 2人はまるでこの館長の手のひらで踊らされていたかのようだ。 なんともとっちらかった感想になってしまった。 だってワケのわからない映画だったのだもの。 だから鬼才と世間は言うのか? だとしたら鬼才の描く物語はところどころに強く印象を残すシーンはあるものの、 物語としては(私にとっては)説得力がない。 ブレス オフィシャルサイト
by sabunori
| 2008-05-31 21:33
| MOVIE
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Trackback(2)
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Comments(6)
Tracked
from 夢の国・亞洲文化宮
at 2008-06-01 10:33
タイトル : ブレス
2007年/韓国/1時間24分(劇場にて鑑賞) 監 督 キム・ギドク 英 題 BREATH 出 演 張 震(チャン・チェン) チア ハ・ジョンウ カン・イニョン 「死刑囚の男と訪...... more
Tracked
from 真紅のthinkingd..
at 2008-06-03 10:07
タイトル : 企て、もしくは迷走劇〜『ブレス』
BREATH カリカリと、壁を引っ掻く歯ブラシの耳障りな音。囚われ、死を待つ男たち。。 夫の浮気に苦しむ主婦(チア)は、死刑囚のチャン・ジン(チャン・チェン)が 獄中で自殺を図ったことを樽..... more
Commented
by
かず
at 2008-06-01 06:12
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この作品も、ちょっと気になっている作品なんだが・・・ひょっとしてホラーかと表紙で思っちゃいまして躊躇していたんですが、ホラーじゃないので安心。なんかタイトルがね・・・表紙も暗そうだしσ(^_^;)アセアセ...
「私たちの幸せな時間」は、実はソウルで観ました。うーん、暗い。私がこの映画で印象に残ったのが、死刑囚のカン・ドンウォンくんの過去のシーンで、弟がトイレで痛めつけられて翌日ひっそりと死んでしまうシーン。これは辛かったな、ホントに。寝る時に兄に冷たくされて、そのまま死んでしまう弟もかわいそうだったけど、翌日起きたときに弟が亡くなっていたのに気付いたときのお兄さんの気持ちを考えると、とっても辛い。その辛さの印象が残って忘れられないんですよね。
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こんにちは♪ 早速ご覧になったのですね。
私はキム・ギドク監督作品はこれが初めてで、どんな趣向なのか分からないのですが、他の作品がどういった感じなのか気になります。 チアという女優さん。すっかり忘れてしまいました。韓国の女優さんは顔も名前もみんな似てるんですもん。(私の記憶力の問題かな…) 私もチャンと若い囚人の関係は興味深かったです。肩車のシーン、よかったですね~。彼の心がじわじわきてしまいました。 館長は監督さんが演じているのですか。ならば確信犯だわ。ほんとにありえないですね、面会室であんなこと…。 チャン・チェンは台詞がなくてあの存在感!!ますます好きになりました。
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sabunori at 2008-06-01 22:10
かずさん、こんばんは。
かずさんは「私たちの幸せな時間」をソウルでご覧になったんですね。 アジアは結構チョコチョコ行っている私ですがなぜか韓国は未踏の地です。 本場のサンゲタン食べたいです〜。 この「ブレス」はホラーではないですよ。 ただ、題材が題材だけに楽しい映画ではありません。 ラストも重いです。 好き嫌いが分かれる作品な気がします。かずさんはどちらかしら。
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sabunori at 2008-06-01 22:21
孔雀の森さん、こんばんは♪
実は私もキム・ギドク監督作はこれが2作目です。 だからこんなに偉そうなコトを言える立場じゃないんですよね。(笑) 韓国の女優さん・・・同感です。 名前も顔も似ていて私もチェ・ジウさん意外はわかりません。(情けない) というか名前だけでは男女の区別すらつかない状態です・・・。 あの肩車のシーン、ものすごくよかったですよね。 「面会だ」と言われていきなり若い囚人を肩から落とすところも。(笑) 張震は・・・本当にうまい役者だと思いました。 それにやっぱり手がいいですよね。今回もまた彼の手にウットリしてしまいました。
sabunoriさん、こんにちは。
ギドク監督作は好きでほとんど観ている私ですが、これはちょっと・・・。というのが率直な感想です。 珍獣ハンター嬢(笑)が唄い出す場面は、絶対笑うところだと私も思いました。 でも、劇場内は凍りついたように静かで困りました。 いっそのこと、監獄内だけで映画作ったほうがよかったのでは?と思ったり・・・。 鬼才も迷走気味?と思った作品でした。 ではでは、また来ます~。
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sabunori at 2008-06-03 23:18
真紅さん、こんばんは★
あの唄い出すシーンは笑うしかありませんよね。 いや、でもその笑いすら凍りついたりして。 四季折々の映像が美しい・・・という紹介をあちらこちらで見ましたが 私には彼女同様作りものの安っぽい明るさがむなしく見えて仕方ありませんでした。 監獄内だけで作ったとしたらこの監督らしさは出たのでしょうか?? (絶対その方が普通に素敵なストーリーにはなったと思いますが) 私はほとんどこの監督作品を観ていないのでよくわからないのですが・・・。
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