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実地試験に合格し晴れて香港警察刑事情報課・監視班の一員となった 新人女性捜査官ホー(徐子珊:ケイト・チョイ)。 豚仔というニックネームをつけられたホーは上司である狗頭(任達華:サイモン・ヤム)の 指導のもととある窃盗団を追い、「影の男」(梁家輝:レオン・カーファイ)と呼ばれる 一味のリーダーを追い詰めていく・・・。 いや〜面白かった!! TVをつければうんざりするほど宣伝しているトムさんの映画もいいが こういう見ごたえのある作品が片隅で細々と公開されているなんて 本当にもったいない! 久しぶりに気持ちの良い「あるべき姿の香港映画」を観た気がする。 最近友人が嘆いていた。 「近頃は純粋な香港映画がめっきり減った。 常に大陸を意識しておうかがいをたてたような作品のなんと多いこと!」 現在大陸のマーケットを意識せずに香港映画を作ることは無理だとは思う一方で 友人の言わんとすることはわかるなぁと思っていたところに観たこの作品。 2007年の作品ではあるものの、こういう生粋の香港映画を私も望んでいるのだ。 狗頭率いる狗仔隊は犯人が出没しそうな街のあらゆる場所に 一般市民を装って犯人たちを張り込む。 イチャつくカップルだったり新聞売りのおじさんだったりサラリーマンだったり。 誰もがイヤホーンとマイクを装着し、車で流す狗頭の指示のもと 一糸乱れぬチームワークで犯人を尾行しアジトを突きとめていく。 その計算されつくした行動は見ていて気持ちがいいのなんのって! 窃盗団の1人の部屋を突きとめるために男がエレベーターを降りた途端に アクシデントに見せかけて鞄から小銭をバラまくホー。 本来は違う階で降りると見せかけておいて、散らばった小銭を拾うために仕方なく エレベーターから降り、小銭を拾いながらさりげなく男の部屋を確認する。 子ギャル風のホーが小銭をバラまいても男に不信がられることはない。 この作品の素晴らしさは任達華、梁家輝らが決して突出することのない、 俳優陣のアンサンブルの良さにある。 この物語にヒーローはいないのだ。 それが緊張感あるストーリーをただの作り話からリアリティある物語へと押し上げる。 その一方で新人捜査官ホーの成長も鮮やかに描く。 犯人追跡中にホーの目の前で警官が撃たれる。 地面に血がみるみる広がり死に直面する警官を目の当たりにし、 任務を忘れ泣きながら手当てするホー。 狗仔隊のメンバー誰もが新人時代に通過するであろうエピソードを 遊乃海(ヤウ・ナウホイ)監督は優しい眼で描き出す。 そしてもう1つのこの作品の主役は香港の街だ。 強盗団の一味、林雪が演じる男の生活テリトリーは佐敦(ジョーダン)界隈。 そして影の男が追跡をまくために歩きまわるのは中環(セントラル)の街角だ。 あ、あの通りからこの通りへ曲がった!と思ったらこっちへ行くか!と お馴染みの普段姿の香港の街並みがスクリーンに広がる楽しさ。 香港の街を歩いていると向こうからやって来る人物が大声で独り言を言う風景に しばしば出くわす。 すれ違いざまに小さなヘッドセットが見えて「あ、電話中なのね」と気づくわけだが いつになってもアレには慣れない。 しかしこれからは「ひょっとして彼は監視班メンバーでは・・・?」と 妙な想像をしてニヤつきながら香港の街を徘徊する私がいるかもしれない。 物語のラスト。 今日も香港の街を張り込み歩くホーの姿は少しだけ自信に満ちていた。
by sabunori
| 2009-03-23 13:50
| MOVIE
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Comments(6)
Tracked
from Mi cinema log
at 2010-02-12 22:13
タイトル : 跟蹤 天使の眼、野獣の街 ’07 香港 (WOWOW)
12月に録画し損ね 1月に無事録画 やっと今頃見ることが出来ました 監督のヤウ・ナイホイは ジョニー・トーの映画 ザ・ミッション/非常の掟 PTU エレクション の脚本を 担当してた人で 今回初監督作 そして トー先生も製作で参加 監視を専門とする女性捜査員と捜査班 そして犯罪組織を追う 焦点をぐっと絞ったストーリー 思ってた以上に 派手さはなく とても地道な感じ クサくなく サラっとしているけれど 程良い緊張感とヒューマニズム 地に足のついた 好感のもてる佳作...... more
Tracked
from 小泉寝具 ☆ Cosmi..
at 2011-01-14 14:55
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acine at 2010-02-12 22:10
sabunoriさん、こんばんは!
コメ&TB有難うございました♪ やっと見れました! sabunoriさんのレビュー、どれもそうそう!って感じでうなずきながら 読ませてもらいました。 そーなんですよね。ベテランでさえ、あくまでも群集の一員として、 任務を果たしてる感じがよかったです。 淡々とさえ思える中で、程良い緊張感と程良いテンションが こういう風に続く映画って、なかなかないですもんねぇ。 私も、あの小銭ばらまいたり、タバコの箱を置いたりするシーン ほほ~!って感じで見てました。 そして、まるで、捜査の内情を知ってるかのような、あの監視班の ばらまき方、役割分担も凄く面白かったです。 そうか、大声で独り言言ってたら、そうなんだ~!? 確かに、そんな見方すると凄く面白そう! そして、ラム・シューのテリトリーの佐敦・・・チムサァチョイから フラフラ歩いてると、すぐ佐敦辺りに行けるので、おぉ~っ って感じでした。そのまま、また旺角までフラフラ歩いていくんですけど(笑)。 この映画見ると、香港の街がすごくやはり魅力的で、行きたくなりました!
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at 2010-02-12 22:12
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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sabunori at 2010-02-13 21:25
acineさん、こんばんは。
本当に俳優陣みんなで団体賞!と言いたくなるような見事さでしたね。 日本で地味〜に公開されたのはこのへんの「飛びぬけたスター」不在な 作品だったからでしょうか。 日本公開時のポスターの地味さにも「ヒットさせる気がないのでは?」と思わずにはいられないようなものでしたよね。もったいないわ〜。 1つ1つのエピソードが説得力があり、あの監視班のバラまき方は 土地の狭い香港だからこそできる技だったのかもしれませんね。 ハンズフリーで街を歩きながらしゃべり続ける香港人・・・ いえいえほとんどみんな実にくだらなーい話をしながら歩いているのですけどね。(笑) acineさんは林雪のテリトリー(佐敦界隈)に思わずおぉ~っですね。 私は梁家輝の逃げまわる中環界隈にうふふ・・・でした。 いずれにしてもやっぱり香港の街は絵になります。たとえ汚くても、ね。 そろそろacineさんも香港が待ちくたびれてますよ。いってらっしゃいませ!
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sabunori at 2010-02-13 21:26
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風情♪
at 2011-01-14 15:08
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こんにちは♪
>こういう見ごたえのある作品が片隅で細々と公開されているな んて本当にもったいない! いや~、お恥ずかしい…実はチラシを貰った時はそのデザインからあまりオモシロそう とは思えなかったんでスルーしちゃったんすよねぇ…。 今思うと、かなりオモシロい作品だったんで劇場で観なかったことを悔やむばかりです。 香港映画は好きですが、それまで香港を意識したこと無かったんすけど、ご存知のように 去年初めて香港を訪れてその魅力が解っただけにJ・トー監督の描く香港がスゴク魅力的に 感じられる今日この頃です。「PTU」の時の静寂の香港の夜の映像なんかゾクゾクしちゃい ましたよ♪ (゚▽゚)v
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sabunori at 2011-01-14 21:42
風情♪さん、こんばんは☆
この作品の公開時のポスターは本当に観たい気持ちをおこさせない シロモノでしたよね。 あれを見て「観よう!」と考えるヒトは滅多にいないでしょう。 あのポスターを見て「あぁ、売る気がないんだな」と思ってしまいましたもの。 その場所を実際に知っているのといないのとでは映画を観ていても 入り込み方や親近感が全然違いますよね。 >去年初めて香港を訪れてその魅力が解った これ、一香港ファンとしてはものすごく嬉しいお言葉です! ジョニー・トウという監督の作品は私は苦手なのですが あのヒトの「香港という街にこだわりつづけて映画を作る」という考え方は 支持しています。 DVDが発売されているジョニー・トウ監督の「スリ」という作品は 風情♪さん気に入られると思いますよ。 サイモン・ヤム主演ですし。
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